銀座に来る中国人は、もう富裕層だけじゃない 旅行客の"爆買い"現場を直撃してみた
中央通りを三越の方向に歩いて行くと、「上海から来た」という中年の女性たちに出会った。おじいさん、おばあさんから孫までの8人家族でやってきたという。
女性にふだんの仕事を聞いてみると、外資系の自動車工場の組み立てラインで働いているとのこと。富裕層ではなく、典型的な中流層だ。「クルマの売れ行きがよくないので、8月は半分の従業員が休む予定。私の場合は、おじいさん、おばあさんに日本を一度見せたかったので来た」と女性は話した。
どんなものを買ったのか尋ねてみると、袋から取り出して見せてくれた。炊飯器は日立製(約4万4000円)。大金をはたいたのがニコンの望遠レンズで約10万5000円。牛乳にとかして飲むための、伊藤園の抹茶ラテの粉末も。
株価下落の影響は大きくない
6月以来、中国では株価下落が著しく、負の資産効果が懸念されるが、「株はやらないので何の影響もない」とその女性はきっぱりと言った。株式投資については何人かに聞いてみたが、どの人も「自分はやらない」「旅行への影響はない」と口をそろえた。
取材に応じてくれた上海在住の外資系銀行勤務の男性によれば、「慎重にやっている人は最近の株価下落による影響はほとんどない。ダメージが大きいのは投機でやっている人だけだが、そんなに数は多くない」という。
中国経済の今後についてどう見ているか、聞いてみると、「いろいろ問題は起こるだろうが、10年間は高度成長が続く」と楽観的な見通しを語ってくれた。この男性の妻は貿易会社で働いている。夫婦の年収は合わせて100万元(約2000万円)にもなるという。
さらに銀座四丁目方面に歩いて行くと、いかにも金持ち風の美人女性が大きなダンボール箱を抱えていた。「主婦です。ゴルフクラブをまとめ買いしました」と女性は言う。「なぜ日本で?」と疑問を投げ掛けてみると「種類がたくさんあるから」と答えた。
「免税」を大々的にうたう家電量販店のショーウインドウには、中国人観光客目当ての美容家電やシェーバー、炊飯器がずらりと並んでいる。赤や金色が人気で、14万円もする炊飯器や4万円を超す電気ポットもある。電化製品の中で最も人気なのが炊飯器だそうだ。
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