中国が日本人の「遺伝子情報」を蓄積している? いま流行の遺伝子検査の発注先に課題
ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリー(アンジー)が2013年、健康体であるにもかかわらず、乳腺切除手術を受けたことが話題になった。彼女に決意をさせたのは、BRCA1という遺伝子に変異があり、生涯でガンになるリスクが87%あると診断を受けたことだ。
乳ガンや卵巣ガンのうち「遺伝性のもの」と言われているものは5~10%で、影響を与える遺伝子としてBRCA1とBRCA2が特定されている。こうした遺伝子を持っている人は持っていない人に比べ、発ガン率は10倍以上も高くなるという。アンジーは2007年1月に母親で女優のミシェリーヌ・ベルトランを10年近くの闘病の末に卵巣ガンで亡くし、2013年5月に母方の叔母であるデビー・マーティンを乳ガンで亡くしている。デビーもアンジーと同様に、BRCA1の遺伝子に変異があったとされている。
さらにアンジーは2015年に卵巣と卵管の切除を公表。2009年に米フォーブス誌の「パワーリスト」で1位に選ばれたセレブの「勇断」は、世界的に大きな反響を呼んだ。
医師を介する検査と医師を介さない検査
これにより、日本でも遺伝子検査は話題になった。しかし、同じ遺伝子検査といっても、医師を介する検査と医師を介さない検査に分けられる。アンジーが受けたのは前者であり、後者はDTC遺伝子検査と呼ばれ、唾液などの検体を医療機関を介さずに直接郵送などで検査にまわすもの。日本ではDTC遺伝子検査の市場規模は急速に拡大しており、150億円にのぼると見込まれている。
「次世代シーケンサーの普及などにより、DTC遺伝子検査市場はいっそう拡大するだろう。その成長をうまく導くことで、パーソナルゲノム医療で日本が世界に先駆けて主導権を確立しなければならない」こう主張するのは自民党の小倉将信衆院議員だ。
いったいどのような課題があるのだろうか。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら