中国が日本人の「遺伝子情報」を蓄積している?

いま流行の遺伝子検査の発注先に課題

小倉氏は今年1月、木原誠二衆院議員を座長とする自民党議員有志8名で勉強会を立ち上げ、5月にパーソナルゲノム医療の確立についての提言書を取りまとめた。しかし「国内でのルールが未整備なために、解決しなければならない課題は少なくない」とのこと。米国では今年1月、2.15億ドルの予算を投じて“PERCISION MEDICINE INITIATIVE”が発表され、EUでも約50億円をかけて域内のゲノム研究機関が情報共有するための中央組織の設立が計画されている。熾烈なグローバル競争の下、日本は勝ち抜くために何をすべきなのか。

まずはDTC遺伝子検査に関して、どのような問題があるのか。

2002年10月26日から2014年2月4日まで消費者センターに寄せられた相談件数は283件。「検査キットが届かない」や「解約したいが受け付けてもらえない」といった契約上の問題から、「ガンの早期診断で異常なしと言われたが、その後で肺ガンと診断された」「同じ検体を2件の別々の代理店を通じて申し込んだら、異なる結果が出た」など、検査の信頼性にかかわる苦情も存在している。また「業者が信頼できるかどうか知りたい」や「個人情報が守られているか不安」というものも33件あった。

多因子遺伝異常の場合は判断が難しい

「個人の遺伝子情報は死ぬまで変わらない。いったん情報が流出すれば、回復は極めて困難になるし、遺伝子情報を共有する血縁者にも影響する。またひとつの遺伝子異常で現れる単因子遺伝子異常なら判断は簡単だが、多因子遺伝異常の場合は判断が難しい」と小倉氏は警告する。

最近では、SNP(一塩基多型)といった遺伝子多型の特定の組み合わせが生活習慣病や治療薬の副作用の出現に関係していることが判明しているが、具体的に判断するには一定以上の医療レベルが必要だ。小倉氏は「まずは施設の認証や事業者の登録制、遺伝子情報のトレーサビリティの確保などきちんとした法整備が必要だ。さらには遺伝教育を推進し、差別撤廃のための理念法を制定するなど、国民への啓発活動もしなくてはいけないというのが我々の主張だ」と述べる。

実際に海外では、遺伝学的検査の品質を保証し、カウンセリング体制を整え、遺伝による差別を禁止するなど、法的整備が進められている。米国では2008年に遺伝情報差別禁止法が制定され、採用や健康保険団体への加入時に意図的に遺伝子情報を提供させること、及び遺伝情報に基づく差別を禁止した。

フランスでは生命倫理法が2011年に改正され、個人または第三者がDNAプロファイリングの目的で遺伝学的検査を要求することが禁じられ、違反については刑事罰が加えられた。遺伝差別については民法の他、労働法や公衆衛生法でも禁じられており、保険加入契約の場合にも、遺伝学的検査を要求されることはない。よってフランスではDTC遺伝子検査は医療及び医学の見地からのみ実施され、医業としては行えない。

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