45歳以上は知らない「学校で教わる"新常識"」 「家庭科の教科書」にギャップを埋めるカギ

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篠田:長生きに否定的な意見が3分の2ですか。これまで人類が長寿を目標に栄養状態を改善したり医療技術を発展させてきたりしたことを考えると、大きなパラドックスですよね。

小林:さまざまな調査機関のデータを見てもやはり、同じような傾向があることがわかりました。日本は「人生100年時代」を無条件に喜んでいる国ではないんですよね。

篠田:国によって差があるのですか?

小林:海外のデータと比べると、アメリカや中国などは、比較的ポジティブな反応が多いです。日本では、「老いて人の迷惑になりたくない」「お金の問題で困るのではないか」といった心配があるようです。

親世代が「失敗」を受け入れられない

篠田:日本の若者が長寿に対してネガティブなイメージを持つのは、いまでも「60歳で仕事を辞めて、そこから40年の無収入時代をどう生きるか」と考えてしまうことも原因のひとつだと思います。

篠田真貴子(しのだ・まきこ)/エール株式会社取締役。社外人材によるオンライン1on1を通じて、組織改革を進める企業を支援している。2020年3月のエール参画以前は、日本長期信用銀行、マッキンゼー、ノバルティス、ネスレを経て、2008年〜2018年ほぼ日取締役CFO。退任後「ジョブレス」期間を約1年設けた。慶應義塾大学経済学部卒、米ペンシルバニア大ウォートン校MBA、ジョンズ・ホプキンス大国際関係論修士。人と組織の関係や女性活躍に関心を寄せ続けている。『LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる』『ALLIANCE アライアンス――人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用』監訳。『まず、ちゃんと聴く。コミュニケーションの質が変わる「聴く」と「伝える」の黄金比』巻頭言ほか (撮影:鈴木愛子)

『16歳からのライフ・シフト』にもありましたが、これからは「学びの期間」「働く期間」「引退後の期間」といった3ステージの人生ではなくなります。しかし日本では、リンダさんが提唱する「学びも仕事も続けるマルチステージモデル」が、イメージしにくいのだと感じます。

小林:その通りだと思います。いままで、子育てしてきた方々は、小中高と12年間かけて勉強して、できるだけいい大学や会社に入る、学びはそこで終わりといったイメージが、意外とまだあるような気がします。大人から意識を変えていく必要がありますね。

篠田:リンダさんは「人生はいつからでもやり直せる」「活躍できるステージはいくつもある」と言いますが、肝心の親世代がそう思っていない。その苦しさのようなものが子どもたちに伝わっちゃっているのでしょうね。学校では人生設計についてどのように教えているのですか?

小林:いままさに、専門の研究者のみなさんが、人生100年時代においてどのような力を学校教育で育むべきかを議論しています。やり抜く力、仲間と協力して物事を解決していく力、クリティカルシンキングなどの非認知スキルが重要だという学力観に変わってきていますね。

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