「55年前のレシピ」で作ったロールキャベツの味 昭和と現代のレシピで作り比べをしてみたら

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実は、これまで私はロールキャベツを作ったことがない。手間がかかることと、キャベツの葉をうまく剥がす自信がなかったからだ。実際、今回も破れ目があるキャベツで包む羽目になった。

しかし意外にも、楊枝で留めても留めなくても形は崩れなかった。昭和レシピはパン粉を入れて丸めて絞り、現代のレシピはパン粉と卵と薄力粉を使う、とまとめる技と材料が何重にも入っているからだろう。

(写真:編集部撮影)

昭和レシピは、肉だねを炒めた際に感じたが水分量が少なく、作りやすく食べやすいがクリーミィさに欠けた。現代のレシピは、手間はかかるが、水分量が多めで味にしまりがない印象を受けた。

現代的な薄味で食べやすい(撮影:尾形文繁)

キャベツはペーパータオルで拭くだけでなく、昭和レシピのように包んでから絞ったほうがよかったように思う。そしてどちらもあと10分は煮詰めたほうが、キャベツもかみ切りやすく味もはっきりしたのではないか。

もっと煮込んだほうがよかった?(写真:編集部撮影)

昭和の料理のほうが手間がかからない?

肉じゃがと同様、昭和レシピのほうが、味が濃かった。トマトケチャップと生のトマト、固形スープとワインなど使う調味料の違いも大きい。

そしてどちらも、たまたまなのか昭和レシピのほうが意外にも手数がかからない料理になっていた。たまたま、と推測するのは、煮物などは冷蔵庫で保存しない時代を引きずってか、昭和レシピには長時間煮込むものもあるからである。そして、現代のレシピは「時短」と銘打ったものはとことん手間を省くが、今回のレシピは、どちらもよりおいしくするひと手間が目立った。

別の料理で試してみると、別の発見や結論が出る可能性もある。しかし少なくとも、昭和と現代で求める味がまるで違うのは間違いがなさそうだ。1980年代以降は減塩運動が活発になり、塩分を控えてきた結果が、現代のレシピに表れている。ぜひあなたも、昭和と現代の料理を作り比べてみてほしい。

阿古 真理 作家・生活史研究家

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あこ まり / Mari Aco

1968年兵庫県生まれ。神戸女学院大学文学部卒業。女性の生き方や家族、食、暮らしをテーマに、ルポを執筆。著書に『『平成・令和 食ブーム総ざらい』(集英社インターナショナル)』『日本外食全史』(亜紀書房)『料理に対する「ねばならない」を捨てたら、うつの自分を受け入れられた』(幻冬舎)など。

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