「55年前のレシピ」で作ったロールキャベツの味 昭和と現代のレシピで作り比べをしてみたら

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現在放送中の朝ドラ『虎に翼』8月15日放送回で、主人公の佐田寅子(伊藤沙莉)が、1955年に交際中の星航一(岡田将生)を家族に紹介しようとする際に作ったごちそうがロールキャベツだった。

調理工程は以下の通り。

① キャベツの葉をはがし、蒸し器でしんなりと緑色が濃くなるまで蒸す。冷ましてから芯をそぎ取る。
② タマネギをみじん切りし、サラダ油とバターを熱したフライパンで炒め、合いびき肉を加えてさらに炒める。塩、コショウで調味し、パン粉を加えてさっと混ぜる。
③ キャベツの葉を広げ、②の肉だねを4等分し丸めてそれぞれ乗せる。風呂敷で包む要領で包み、余分な水分を絞って形を整える。
④ ロールキャベツを鍋にきっちり並べ、固形スープを湯で溶かしたスープを注ぎ、中火で静かに煮る。
⑤ 皿に取り、トマトケチャップをかけるか、煮汁に塩少々を加えたソースをかける。

キャベツは冬キャベツをすすめている。「風呂敷で包む要領」は原文の表現通りだが、風呂敷が身近だった時代ならではの表現だ。バターを使うところが、フランスの影響と、乳製品が大人気でカロリーを積極的に摂ろうとした時代を感じさせる。

キャベツに包む前に肉を炒めるのはなぜ?

肉じゃがのときも、実は昭和のレシピのほうが時短だったのだが、今回もこちらが手早く作る方法だった。包む前に肉まで火を通すのは、流通過程で冷蔵・冷凍を行うコールドチェーンシステムができたばかりで鮮度が不確かで、食中毒を起こさないよう気を使ったのか。あるいは、欧米ではコンロで焼いてからオーブンに入れる料理も多いため、向こうの作り方を踏襲したのだろうか。

肉は炒めてから包む(写真:編集部撮影)

楊枝で留めずに絞って鍋にきっちり詰める、というやり方は簡単で食べやすそうだ。皿に移し替える際も、バラけたりはしなかった。

煮汁でソースを作るなら、汁を煮詰めてトマトケチャップを加えたほうがよいのではないかと思った。トマトケチャップも、当時は多くの家庭に常備されヘビロテされた調味料である。トマト味は普及し始めで、スパゲッティのナポリタンやミートソース、ハンバーグ用のソース、オムレツ・オムライスのソースとしても人気が高かった。

ケチャプが醸し出す昭和感(撮影:尾形文繁)
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