花王CM「夫が年上すぎて炎上」への強烈な違和感 「ハミング」のPR動画に批判が殺到は本当なのか
花王側も、ジェンダーバイアスに配慮をして動画を制作したことがうかがえる。おそらく、花王にしてみると、こうした批判が出てくることは寝耳に水ではなかっただろうか。
SNS上の声は、極端に振れることも多く、それが本当に「“世の中の声”を反映しているのか?」ということは意識しておく必要がある。
広告では「年の差婚」は一般的
「ハミング」の動画以外にも、広告表現において夫婦間の年齢差が大きいものは、他にも多数ある。
ちょうど1年前に放映された、キリンビール「スプリングバレー」のテレビCMでは、俳優の大森南朋さんと広瀬アリスさんが夫婦役を務めている。実に年齢差は25歳で、ハミングの動画と同様に「親子に見える」と違和感を持たれてもやむを得ないほどだ。しかし、このCMに「批判が殺到した」という話は聞かない。
2016年から数年間にわたって放映されていた「アフラック」のCMシリーズでは、俳優の西島秀俊さんとお笑いタレントの渡辺直美さんが夫婦役を演じていた。親子ほどではないが、16歳の年齢差がある。
この2人が夫婦役を演じるという“意外性”が話題になり、違和感を示す声も一部あったが、筆者が把握する限り、年齢差は問題視されてはいなかった。
「大森南朋や西島秀俊だから、(年齢のある夫婦を演じても)違和感がない」ということかもしれないが、それは“偏見”と言ってもよいだろう。
なお、妻役のほうが年齢が高い事例では、今年4月に放映開始したサントリー「オールフリー」のCMがある。お笑いコンビ・ダイアンの津田篤宏さんと、俳優の深津絵里さんが夫婦役を演じているが、深津絵里さんのほうが3歳年上である。最も、この年齢差は気になるほどではないが……。
タレントの広告への起用は、企業・商品イメージとの相性、商品のターゲット顧客とタレントのファン層との一致度、事務所やタレントの意向や契約条件、契約金など、さまざまな要素から決められる。
夫婦役の場合、それぞれで上記の条件を満たしつつ、夫婦役としての「見え方」も勘案しなければならないので、なかなか難しい。
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