花王CM「夫が年上すぎて炎上」への強烈な違和感 「ハミング」のPR動画に批判が殺到は本当なのか

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洗濯洗剤のCMでも、花王「アタックZERO」、P&G「アリエール」など、男性俳優が出演し、率先して洗濯をするようになっている(男性俳優はこれまでも出演していたが、主に「解説役」だった)。

「男性も家事をするべきだ」という社会通念として浸透しており、企業側もそれを啓発していこうという意思があり、消費者にもそれが受容されるからこそ、こういう広告が一般的になっている。

花王ハミング
よくある夫婦のすれ違いが描かれている(画像:X「花王アタック(お洗濯全般)」公式アカウントにアップされた動画より)
花王ハミング
動画の最後は、お互いに思いやりを持とうというほっこりする内容だ(画像:X「花王アタック(お洗濯全般)」公式アカウントにアップされた動画より)

いまだ残っている“ジェンダーバイアス”

話を「ハミング」のPR動画に戻すが、夫婦で家事を分担する様子が描かれており、“時代性”の配慮は十分になされていると思う。夫婦の年齢差に関しても、筆者しては問題になるほどだとは思わないし、企業側が取り下げたり、声明を出したりする必要もないと思う。「そういう意見も見られる」ということで、今後に活かしていけばよい――というところだろう。

筆者としては、大正製薬「リポビタンD」や花王「ハミング」の事例を問題視するのであれば、ジェンダー表現で問題にすべき広告は他にもあるのではないかと以前から思っている。

例えば、温泉やリゾート施設の広告の大半は、いまだに若い女性モデルが起用されている。実際の利用客は、男性も多いし、年齢も多様であるにもかかわらずである。「若い女性客を呼び込みたい」という意図があるのかもしれないが、それを勘案しても、偏りすぎであると思う。

インターネット上の広告で、美容や脱毛の広告、マッチングアプリなど、消費者のコンプレックスを過度に刺激したり、セクシーな画像を使って誘因しようとしたりしているのも問題であると思う。

大手企業の広告だから叩かれるという要素はあるのかもしれないが、日々目にしていて「当たり前」になってしまっている表現の中にも、問題のあるものは多々あると思うし、批判するのであれば、そうしたものも批判してもらいたいと筆者としては考えている。

【写真】夫婦じゃなくて親子に見える? 「“炎上”したPR動画の中身」を見る
西山 守 マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授

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にしやま まもる / Mamoru Nishiyama

1971年、鳥取県生まれ。大手広告会社に19年勤務。その後、マーケティングコンサルタントとして独立。2021年4月より桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授に就任。「東洋経済オンラインアワード2023」ニューウェーブ賞受賞。テレビ出演、メディア取材多数。著書に単著『話題を生み出す「しくみ」のつくり方』(宣伝会議)、共著『炎上に負けないクチコミ活用マーケティング』(彩流社)などがある。

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