TV放送収入急減は小休止だが、楽観視はできない テレビ視聴者はいよいよネット世代に入れ替わる
次に2025年の人口ピラミッドを見ると、2015年から10年経ち、かなり形が変わっている。団塊世代は80歳に近づき特に男性の山が低くなっている。残念なことに、亡くなった人が多いのだ。そして団塊ジュニアは50歳を超えてしまい、そろそろ次の人生を考える年齢に差し掛かる。
赤い線がテレビ世代の境目で50歳に上がり、ネット世代のボリュームが増している。人口問題研究所のデータから算出すると、団塊ジュニア未満は2015年には約4割だったのが、2025年にはほぼ拮抗する。
ネット世代は2015年には少数派だったのが、2025年には半々になり今後は多数派になっていくのだ。
「コア視聴率」が重視されてきている
最近のテレビ視聴の指標は、基本は個人視聴率だが、数年前から各局が「コア視聴率」を第2の指標に掲げ、49歳以下を重視している。多くの企業は若い世代をターゲットに商品を売りたいので、コア視聴率が大事なのだと言われる。2つのピラミッドからわかるのは、テレビ世代がコア視聴率の上限から外れ、対象者は完全にネット世代になってきたことだ。それはどんな影響を及ぼすだろう。
7月の東京都知事選では、小池百合子氏が圧勝した一方で蓮舫氏は3位、ダークホースだった石丸伸二氏が2位に浮上したことが話題になった。テレビの選挙報道では当初「小池vs蓮舫」の構図で伝え、石丸氏は田母神俊雄氏とともにその次のグループと位置付けられていた。だが街頭演説とYouTubeを駆使した石丸氏のほうが蓮舫氏より得票数は多かった。さらに、選挙期間中はテレビ報道がゼロだった安野貴博氏はやはりYouTubeで支持を広げ5位につけ、選挙後に盛んにテレビに呼ばれていた。
この都知事選の結果は、メディアにおける世代交代の影響が初めて表れた現象だと私は考えている。若者が政治に興味がないというのは中高年の偏見で、自分を託せる候補者がいれば投票する。テレビが主要候補扱いしなくても、YouTubeで自分で探して投票すべき候補が見つかれば支持する。
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