TV放送収入急減は小休止だが、楽観視はできない テレビ視聴者はいよいよネット世代に入れ替わる

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TVerの売り上げが現状は数字として小さいことから放送収入のほうが大事なのだと考える向きもあるようだが、将来を想像していない見方だ。この伸び率のまま成長すると仮定して試算すると、数年後には放送と並びうる経営の柱になる。当然、各局ともそんな考えで力を注いでいるはずだ。

アメリカは日本のメディア状況の5年先を行くとよく言われる。そしてアメリカのテレビ局の広告収入の中でストリーミングがすでに15%程度を占めるという。つまりTVerの売り上げは今は広告収入全体のほんの数%だが、伸び代は格段に大きいと言える。キー局に限れば、TVerは今後の成長を担う重要な柱になるだろう。

テレビ視聴者の世代構造が大きく変化する

キー局に限ればと書いたのは、ローカル局にはTVerのような新たな成長エンジンが見当たらないからだ。もちろんTVerでは数多くのローカル局の番組も配信されており、その中にはキー局の番組に負けず劣らずの再生数を獲得しているものもある。だが今はキー局の番組が圧倒的に多いのは否めない。

さらに多くの県単位のローカル局はドラマもバラエティも制作していないので、現状エンタメ番組中心の配信サービスとして利用されるTVerに置く番組が非常に少ない。ローカル局がネットで配信し放送収入とは別の柱を持つには、TVerの大きな転換もしくは別の配信サービスが必要になるだろう。

それを急ぐ必要があると私は考える。これからテレビ視聴者の世代構造が大きく変化するからだ。

2015年の人口ピラミッド
(出典:国立社会保障・人口問題研究所ホームページ(https://www.ipss.go.jp/)赤線は筆者が追加)

これは2015年の人口ピラミッドだ。よく言われてきたように、高齢社会を反映して、上が重く下が細いいびつな形をしている。細かく見ると、60代後半の団塊世代と40代前半の団塊ジュニアが大きな塊となり、高齢層が若年層への重しになっているように思える。

テレビ視聴の中心は中高年と高齢者であり、若者向けの番組は視聴率が取れない。テレビ中心でメディア接触する層をテレビ世代とすれば、その境目は団塊ジュニアの一番下の年齢層と言っていいだろう。1971〜1974年生まれが団塊ジュニアで、物心ついたら80年代。フジテレビが「楽しくなければテレビじゃない」と言い出し、90年代にかけてテレビがいよいよ面白くなった時代に多感な時期を過ごした。

それより下、2015年の40歳以下はネット世代と見ていい。ネット世代がテレビ世代に押されていたのが10年前だった。

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