iPhoneで「古い充電器」を使っている人の盲点 充電器をアップデートしないと、最新の高速充電の恩恵に授かれない
アップル独自規格のLightning端子は、そのもう一端がUSB-A端子である時代が長かったが、見た目を変えずに電流量を増すなど規格のアップデートが行われてきた。iPhoneのバッテリーがどんどん巨大化、やがてiPadも登場したことで、一方がUSB-Aより電力効率のいいUSB-Cになる。やがてLightning端子もUSB-Cとなり、本格的な高速充電が可能になったのだ(なお、AndroidスマホではマイクロUSBという端子が使われていた時期もあったが、アップルは採用していない)。
80%溜まったらバッテリー保護のためゆっくりと
USB-Cケーブルを使う場合、PD(パワーデリバリー)という規格があり、iPhoneをはじめとしたスマホも、現在はこの規格に準拠した仕組みで充電される。
PDの規格に合致したデバイスなら、充電される側と充電する側に、充電をコントロールするためのチップが搭載されており、それぞれが情報をやり取りして、電圧と電流をコントロールする。
PDの規格では、電圧は5V、9V、15V、20V、48Vが設定されており、現在の最新規格では48V×5Aで240Wまでの充電が可能とされているが、そこまでの出力を必要とするデバイスは筆者はあまり見たことがない。
この規格の中で、iPhoneで関係してくるのは5Vと9V。
iPhoneは、バッテリーを傷めないようにしつつ、可能な限り高速充電するために、ほかに類をみないほど非常に精密な充電制御を行っている。
iPhoneのバッテリーが空に近い状態で充電器に繋ぐと、まず5Vで起動して通信、リセットしてPD充電のモードに入る。
続いて残量が急速充電を必要とするほどすくなければ、9Vに変更し、最大3A(つまり27W)で急速充電を開始する。
しばらく急速充電した後、9Vのまま徐々に充電電流を下げていき、そして9Vで可能な限り充電した後、5W(つまり約0.55Aぐらい)になるまで調整してから、電圧を5Vに切り替え、しばらく5V×1A=5Wで充電。最終的にバッテリーがいっぱいになってきたら、徐々に電流を下げながら満タンになるまで充電する。
つまり、バッテリーが空に近いときは9Vで大きな電流で充電し、途中で5Vに切り替え、電流量を徐々に下げていくという実に複雑な制御をしているのだ。
ゆえに、『最初の急速充電を行うために9Vを出すことができ、途中から5Vに切り替えることができるPD対応の27W出力の充電器が必要』というのがより正確な答えだ。
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