火星でコケが育てば人類は住めるようになるのか 研究者が語るテラフォーミングの意義と可能性

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堀口 新たな生命をつくるよりは、テラフォーミングのほうが現実的に感じます。

藤田 はい、かけがえのない地球と同じような場所を人類の共通財産としてもう1つ新しく持つことができたならば。これから僕らが実際に他の惑星に行き、それを記録に残すと、全てトレースできますよね。考えながらできる。人類が人類のためのものを共同で新しくつくっていく。環境だけでなくルールや新しい文化も。テラフォーミングは今いる人類の英知の大きな作品になると期待しています。住みやすい惑星ができたらいいなと考えています。

コケは火星でどこまで耐えられるか

堀口 テラフォーミングができるとしたら火星ですよね。藤田先生の中で、火星の大気などのデータを見たときに、これならいけそうというイメージは持たれていますか。

藤田 まだ実験をしていないので、わかりません。ただ、CO2が多いというのは植物にとってはメリットがある。火星の水は塩分濃度が高いと言われていますが、水の問題を克服すれば、火星の大気で少なくともコケは育てることができるのではないかと思います。共同研究者を見つけたので、4月から研究を始めています。

火星は地球より大気圧が低く真空度が高い環境です。つまり大気圧を下げていったときに、コケがどこまで耐えられるかが問題になります。重力が小さいので、大気圧はあまり高くならず、0・01気圧ぐらい。CO2が多いのですが、それで育つのか、もう少し酸素の量を増やさないとならないのか。酸素とCO2の比率を変えて、育つところを見つければいいのかなと思います。コケは地球上では水と光、空気があれば育ちます。土は要りません。火星にはいわゆる地球で見られるような“土〟は存在せずレゴリスとよばれる岩と砂の堆積物が存在します。

また、地球から火星に土を運び込むのはほぼ不可能でしょうから、そういう環境で実験をするのに、コケはとても適しています。火星の大気と気圧を合わせて、あとは光を当てれば、コケは育ってくれるかもしれない。そうすると、火星に行けるのではないかというところに近づけます。

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