
月130軒もの現場を片付けているイーブイのスタッフたち。時折、“奇妙なゴミ屋敷”に出会うという。写真と本文は直接関係ありません(撮影:今井康一)
「亡くなった夫の部屋には一度も入ったことがないんです。夫に『入るな』と言われていたものですから」
夫の部屋の片付けを依頼した女性はそう話した。本連載では、さまざまな事情を抱え「ゴミ屋敷」となってしまった家に暮らす人たちの“孤独”と、片付けの先に見いだした“希望”に焦点をあてる。
ゴミ屋敷・不用品回収の専門業者「イーブイ」(大阪府)を営み、YouTube「イーブイ片付けチャンネル」で多くの事例を配信する二見文直社長に、開業から約10年間で見てきた“奇妙なゴミ屋敷”を聞いた。妻でも入ることができなかった夫の部屋にあったものとは。
自死が3件起きている“殺人現場”
イーブイは月に約130軒のゴミ屋敷を片付けている。それだけの数をこなしていると、中には奇妙な体験をした現場や、思い出したくない現場もある。その確率は高くないが、だからこそ忘れることができないという。
大阪府内にある築浅のきれいなマンション。このマンションは過去、とある殺人事件の現場になったことで知られている。イーブイはこのマンションの部屋の片付けを3件請け負ったことがあるが、どれも住人が自死したことによる遺族からの依頼だった。

大阪府某所にある自殺が多発するマンション(筆者撮影)
トピックボードAD
有料会員限定記事
ライフの人気記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら