「何度も自死が起きる」片付け人が見た恐怖の現場 月130軒片付ける業者が語った"奇妙なゴミ屋敷"

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自殺や殺人事件の現場になった部屋でも、住人が孤独死を遂げた部屋でも、奇妙な現象が起きる部屋でも、イーブイができるのは、あくまで片付ける(特殊清掃も含む)ことのみである。だが、そんな部屋たちをまた別の誰かが住めるように前に進めようとする人もいる。

事故物件には“希望”がある

ゴミ屋敷連載
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真言宗僧侶の縫谷俊戒氏は、「釜鳴(かまなり)」という神事で孤独死のお祓いおよび物件の心理的瑕疵を解消する活動を行っている(※国土交通省が定めたガイドラインによると孤独死は心理的瑕疵に該当しない)。

同じく事故物件のお祓いをしている僧侶はほかにもいるが、縫谷氏が行っている釜鳴という手法は特徴的だ。

「一説では、釜鳴の発祥は3世紀後半以降、日本に存在したとされるヤマト王権にまでさかのぼります。

釜に米と水を入れてコンロで火にかけ、蓋を開けると“ボー”という音が鳴るのですが、これが通常の状態です。

音が鳴っている釜を持ちながら家の中を歩くと、不思議と音が鳴りやむ場所があります。そこが、“気”が滞っている場所。気の流れが止まると悪い状況が発生しやすく、逆に気の流れを良くすれば良い状況が発生しやすくなります。

なので、音が止まった場所で真言を唱え、再び音が鳴るようにしてあげるのです」(縫谷氏)

縫谷俊戒氏
釜鳴を実演する真言宗僧侶の縫谷俊戒氏(筆者撮影)

本連載で取り上げているゴミ屋敷やモノ屋敷には、住人が長らく立ち入っていないような部屋もある。ゴミやモノで埋め尽くされているのでしばらく窓も開けていない。やはり、そういった部屋は気の悪さを感じ、住人も怖くて立ち入らなくなっているケースさえある。

縫谷氏が求めているのはお祓いの「わかりやすさ」である。気を視覚で確認することができれば、次の住人の心理的負担も減るのではないか。次の住人に事実を伏せるのではなく、事実を伝えたうえで住んでもらう。そうすることで、事故物件はひとつずつ前に進んでいく。

【写真】「何度も自死が起きるマンション」「顔面が削り取られた地蔵」ーー“奇妙なゴミ屋敷”があった場所を辿る
國友 公司 ルポライター

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くにとも こうじ / Kozi Kunitomo

1992年生まれ。筑波大学芸術専門学群在学中よりライターとして活動。訳アリな人々との現地での交流を綴った著書『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』(彩図社)が文庫版も合わせて6万部を超えるロングセラーに。そのほかの著書に『ルポ路上生活』(KADOKAWA)、『ルポ歌舞伎町』(彩図社)がある。

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