「2回目、3回目と依頼が来るたびに、『またここや』とスタッフたちと話していました。しかも、すべて自死だったので何か磁場的な問題があるんじゃないかと思ってしまうくらいです」(二見氏、以下同)
一人で住んでいた20代男性の遺族から依頼を受け、そのマンションの部屋に行くと、浴室のドアが消防隊に蹴破られたままの状態になっていた。扉が内側からガムテープで塞がれていて、外から開けることができなかったのだ。部屋には、練炭と腐敗臭が混じった独特な臭いが充満していた。
亡くなった男性には収集癖があったようで、部屋には小さい男の子向けのおもちゃがたくさんあった。部屋を片付けていると、誰も触っていない戦隊モノのおもちゃが「ウィーン、ウィーン……。シュルルルルル」と、音を立て始めた。
「不気味なのでスイッチを押して止めるんですが、しばらくするとまた鳴り出すんです。何度止めてもまた鳴るので、途中から放っておくしかありませんでした。そういうのを意識していたら気が持たないです」
妻が一度も入ったことのない「夫の部屋」
とある日は、崖の上に建っていた一軒家を片付けることになった。その一軒家には3人家族が住んでいたが父親が他界。依頼はその男性の妻からで、片付けてほしいのは夫の部屋だという。聞くと、どうも夫婦の関係は普通じゃない。
「亡くなった夫の部屋には一度も入ったことがないんです。夫に『入るな』と言われていたものですから」(依頼者の女性)
夫の部屋は母屋を出て、外階段で崖を下った先にあった。「離れ」とはいえ、家族がその部屋に一度も入ったことがないなんて、やはり普通じゃない。女性は夫の部屋に入ることを怖がってさえいる。
気味の悪さを覚えずにはいられなかったが、女性には母屋で待ってもらい、イーブイのスタッフたちは階段を使って夫の部屋へと向かった。
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