昼だというのに洞穴のように暗いマンションの一室で兄は孤独死していた。警察からの連絡を受け、遺体を確認した後、妹は初めて兄の部屋を訪れた。兄が住んでいたのは生ゴミでいっぱいのゴミ屋敷だった。
本連載では、さまざまな事情を抱え「ゴミ屋敷」となってしまった家に暮らす人たちの“孤独”と、片付けの先に見いだした“希望”に焦点をあてる。
遺体のあるゴミ屋敷の片付けはどのようにして行われるのか。ゴミ屋敷・不用品回収の専門業者「イーブイ」(大阪府)を営み、YouTube「イーブイ片付けチャンネル」で多くの事例を配信する二見文直社長に聞いた。
動画:「キッカケは兄の死」家を見たらゴミが散乱した部屋で過ごしていた
兄が孤独死をした現場
兄妹たちは長い間、疎遠になっていた。警察署の保管庫で安置されている兄の遺体を確認した後、妹は兄が住んでいたマンションへと向かった。賃貸なので早いうちに空にして大家に引き渡さなくてはならない。
しかし、あまりの荒れ具合に妹は玄関より奥に入ることができなかった。ワンルームの狭い部屋だというのに太陽の光が部屋の中に届いていない。ゴミとモノで埋め尽くされた洞穴のような部屋だった。
通路にはカラーボックスがひとつ。その上には食器類が乱雑に積み上げられている。妹いわく兄は昔からモノをため込む癖があったというが、この時点でその傾向が見てとれる。
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