ホークス快進撃の秘密は「本拠地改革」にあり あの「新設シート」が選手とファンを変えた

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レフト側の「ホームランテラス」はテーブル席に(写真:©Fukuoka SoftBank HAWKS)

ホームランテラスは、ライト側とレフト側で座席の構成が異なる。ライト側はカウンターがついた横一列配置、レフト側は2人から6人で利用できるテーブル席と、リクライニング可能なデッキチェアが配置されている。

福岡ソフトバンクホークス事業統括本部マーケティング本部長の吉武隆氏は、ホームランテラスについて次のように語る。

「今まで以上に外野手のプレーを間近で観ることができることも大きな魅力です。金額もリーズナブルにしていますから、会社の仲間には居酒屋感覚で、ご家族にはファミレス感覚で野球を楽しんでいただきたいです」

実際に利用しているファンを取材すると「食事にも荷物置きにも便利」「大好きな選手を目の前で見られるのがいい」「大きなフライが上がっただけで、こっちに来るんじゃないかとワクワクする」といった声が聞かれた。まさに吉武氏が語る思惑どおりの反応で、チケット発売と同時に売り切れ、今や入手困難な人気シートとなっている。

格段に「明るくなった」ヤフオクドーム

ホークスの外野は内川聖一、柳田悠岐、中村晃といった人気選手で構成されており、特に公式ファンクラブのアンケートで人気、期待度ともにナンバーワンの柳田を間近で見ることができることが、このシートのプレミア感をアップさせていることは間違いない。

またホームランテラスとは別に、今年のヤフオクドームが着手したのが全照明のLED化だ。今年は横浜球場でも照明のLED化が実現したが、ドーム球場としては日本初だ。

これまでは一旦消灯すると再点灯まで約20分かかっていたが、即時点灯、即時再点灯が可能になった。従来の照明設備と比べて約58%も消費電力がダウンし、また試合時以外では作業に十分な明るさを必要な部分だけに提供することで、無駄な電力消費を抑えられるという。

LEDならではの経済効果は別として、ヤフオクドームのグラウンド内は格段に明るくなった。今でこそ明るさに慣れてしまったが、開幕当初は選手たちからも「去年までと違う」という声が聞かれた。次々とホームランが飛び出しているのには、ホームランテラスの新設に加えて、ボールが見やすくなったことも無関係とは言えないだろう。

藤浦 一都 フリーライター

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ふじうら かずと / Fujiura Kazuto

福岡の老舗タウン誌『シティ情報ふくおか』の編集長を経て、フリーライターとなる。2007年から2014年まで、福岡ソフトバンクホークス公式ファンクラブの会報誌『FAN! ×FUN! HAWKS』の企画・編集を担当し、現在も同球団のオフィシャルプログラムの編集を手がける。母校・福岡大学の広報誌も手がけ、現在は九州大学の広報誌などの取材も担当。

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