経営環境厳しい中、子弟向け奨学金など福利厚生を充実--人材確保を狙うUSエアウェイズの戦略とは?
今まで子弟のいる社員に対して 、1300件の奨学金を支給(1件当たり年間約20万円の奨学金の計算)してきた。1998年に始まったこの奨学金制度は、社員から歓迎されている。税額控除の多い非営利団体USエアウェイズ教育財団を設置して、奨学金制度の運営を行っている。
USエアウェイズの社会的地位や信頼性を高めるため、同社のハブ空港のある地域や、同社にとって特に重要なワシントンDC地域に寄付を行っている。ちなみに同社のハブとなっている空港は、ノースカロライナ州シャーロット・ダグラス国際空港、フィラデルフィア国際空港、アリゾナ州フェニックス・スカイハーバー国際空港。特に重要な空港は、ワシントンDCのロナルド・レーガン・ワシントン・ナショナル空港だ。
奨学金以外に、「会社の健康保険の掛け金が格安で、保険内容がいい」という社員も少なくない。401Kもあり、経営環境が厳しい中でも福利厚生の向上に努めている。2001年9月11日の同時多発テロ以降、航空会社を取り巻く環境は悪化しているが、少しでもいい人材を集めようと人事部は努力している。
ちなみに給与だがCEOの昨年の年収は約1億円。ディレクターレベルで平均約1000万円。パイロットの平均年収が約8000万円以上で、シニアレベルの財務関係者が約7000万円。一方、フライト・アテンダントの給与は平均400万円。乗客の問い合わせや苦情処理まで行うカスタマーサービスは時給で、経験により1時間8ドルから21ドルと、経営陣と現場部門の給与格差は大きい。
まさに学歴社会のアメリカの構図を垣間見るような給与体系である。「われわれの昇給はインフレに合わせて3%程度だ。ローコストキャリア(LCC)だから仕方がないのだろうが、社内の昼食会でも社員の自腹であるなど、あまりコストを締めないでほしいものだ」といった声が、現職の客室乗務員の間から聞こえている。
(Ayako Jacobsson=東洋経済HRオンライン)
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