経営環境厳しい中、子弟向け奨学金など福利厚生を充実--人材確保を狙うUSエアウェイズの戦略とは?
コンチネンタルとユナイテッド航空の合併など、業界統合が相次ぐ米航空業界。ハリケーンなどの災害や世界経済の影響、テロのおそれなど、舵取りが困難な産業だ。そうした中でも健闘しているのが、サウスウエスト航空やUSエアウェイズ。日本人には耳慣れないUSエアウェイズだが、かつてのアメリカウエスト航空といえば、海外出張の多い人にはなじみのある名前だろう。アメリカウエスト航空は2005年、業績が低迷していたUSウエストを買収した。
全米の乗客に受けがいいようにと、社名は合併後USエアウェイズとした。米国内、欧州、中南米を含む200以上の都市にも路線を持ち、社員数は3万2000人以上、売上高は121.2億ドル。本社はアリゾナ州テンピにある。
今回はUSエアウェイズの人材獲得と人材確保について取材した。
USエアウェイズの仕事は、客室乗務員やパイロットだけではない。プログラミング言語の開発者、予約係、ソフトウエアのアナリスト、会計、カスタマーサービスなど求められる職種が幅広い。
面接を受けたことのある人たちが一様に口にするのは、同社人事部の親しみやすさだ。急な欠員で接客に困る客室乗務員の求人や、社の未来を背負うことになるインターンの人員補給には素早く対応し、アナリストや財務などの専門職に対しては、じっくりその適性を時間をかけて選考する傾向がある。
求人は本社のある地元のローカルペーパーで求人広告を出した後、オンラインで応募を受け付ける場合や、ネットからいきなり求人する場合もある。応募者に対しては、電話インタビュー、個人面談、グループインタビューなどを行っている。面接での質問には、職種にもよるが、問題解決能力を問う質問や転職の理由などを聞くことが多い。
同社の人材獲得の目玉として、社員の家族向けに限った奨学金制度がある。最高経営責任者(CEO)のダッグ・パーカーは、「USエアウェイズ社員の子弟に奨学金制度を設け、総額220万ドルの奨学金を与えてきた」と言う。