ダメ資料が1秒で改善する「スゴ技」ベスト5 「なんとなくダメ」な資料が劇的に変わる!

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第1位:重なりを解消する

前回のダメ資料ランキングの記事でも、あやとりのように線が重なっている例をご紹介しました。重なりが出てきた場合には、基本的には選んだフォーマットが間違っていると考え、色や線などビジュアルの工夫で解消しようとせず、重ならない表現方法を考えるほうに頭を切り替えてください。

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【図】グローバル展開状況の資料例

前回の線の重なりは縦軸・横軸を設定することで解消しました。比較項目が2つの場合であれば、縦軸・横軸を設定することで大部分は解消できます。今回の【BEFORE】は、各国で、3つの事業に対する、展開範囲を示すという図です。既に縦軸・横軸が存在していて、さらにもう一要素表現したいことがある、つまり3つの比較項目が存在しています。

国と事業が縦軸、横軸に設定されており、中にプロットする図形の形と色で展開範囲を示していますが、重なりが多く、下の方の会社になるほど、どこまで展開しているのか正確に把握できません。パワーポイントの機能に慣れてくると、色の透明度を変えたり、複数の種類の点線を使ったりして表現する人もいますが、数が多くなり微妙な差異になってくると厳しいでしょう。

【AFTER】では、重なった面をずらす立体的な表現に変えました。前回記事で「3Dはさけるべし」と言っていたのに……と思われた方もいるかと思いますが、これは、珍しく、3Dのいい例です。

このように立体的に斜めにして並べている理由は、メッセージの「欧州のⅢ事業は4社とも展開していない」ということを、矢印で串刺しすることで表現するためです。メッセージに合わせて表現の仕方を工夫したわけで、見た目をよくするためだけに凝った表現にしたわけではありません。言葉の重なりは因数分解で、線や面の重なりは軸の設定や並べ方を変えることで解消していく、と覚えておくとよいでしょう。

ご紹介してきた改善テクニックは、ある症状に対する対処療法でしかありません。一時的に症状は緩和しますが、資料作成の体系的なスキルを身につけることで未然に防ぐことを目指したほうが長期的には成果につながります。

資料作成は、ひとつの技だけで完結するようなものではなく、総合格闘技とも言えます。情報を入手し加工分析するインプットスキル、論理的に考えるためのロジカルシンキングや創造的なアイディアを考えるためのプロセススキル、文章やグラフ、図で表現するアウトプットスキルなど多岐に渡ったスキルが必要です。アウトプットを見ることでそれまでの過程のどこがまずいのかを把握することができますので、是非振り返り、強化してみましょう。

本記事がビジネスを動かす“渾身の一枚”の一助になることを願っています。

清水 久三子 アンド・クリエイト代表取締役社長・人材育成コンサルタント

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しみず くみこ / Kumiko Shimizu

アンド・クリエイト代表取締役社長・人材育成コンサルタント
大手アパレル企業を経て1998年にプライスウォーターハウスコンサルタント(現IBM)入社。企業変革戦略コンサルティングチームのリーダーとして新規事業戦略立案・展開プロジェクトをリード。「人が変わらなければ変革は成し遂げられない」との思いから専門領域を人材育成分野に移し人事・人材育成の戦略策定・制度設計・導入支援などのプロジェクトをリード。コンサルティングサービス&SI事業の人材開発部門リーダーとして5000人のコンサルタント・SEを対象とした人材ビジョン策定、育成プログラム企画・開発・展開を担いベストプラクティスとして多くのメディアに取り上げられた

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