ただし薄味のため、薬の副作用で味覚障害のある夫には物足りない。ソースやしょうゆ、タルタルにふりかけなど、小袋入りの調味料による味の足し算はかかせません。
電話の話題はもっぱら食事の感想です。「今日のおかずはハンバーグでデミグラスソースがかかっていておいしかった」とか「ヨーグルトが出たから嬉しかった」とか。そのなかでも一番嬉しいのは「残さず食べられた」という報告。私にとってそれが何よりのごちそうです。
グッチのローファーで入院する
節約に勤しむ夫の唯一の贅沢、それは高級ブランド「グッチ」のローファーです。プレゼントとしてメルカリで新品未使用のものを購入したものの、スニーカーのほうが歩きやすいらしく、普段はまったく履いていないのですが、入院中は「グッチ」一択なのです。
実はこれも節約の一環で、入院用の靴を買わずに家にあるもので間に合わせているだけ。病室でのスリッパ使用が禁止されているので、夫が唯一持っているスリッポンタイプの靴である「グッチ」を持参しているのです。
ヨレヨレのTシャツとスウェットパンツに、派手なローファーをコーディネートした姿は、なんともファニーで愛らしい。ピカピカのローファーで屋上庭園を散歩する夫を「おしゃれな靴履いちゃって!」とからかうと、「入院するとグッチが履けるからいいね」とニコニコ返事してくれます。
できないことに目を向けるのではなく、できる範囲で自分を楽しませる方法を探す、そんな夫を尊敬せずにはいられません。
前編の記事はこちら:「末期がん闘病」2年してわかった病院選びのコツ こんなにもある「都心で闘病」のメリットとは
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