イーロン・マスクがOpenAIを「キレて去った」内幕 シリコンバレーの苛烈な「AI開発競争」舞台裏

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一方ハサビスらディープマインドの研究チームは、マスクや著名投資家ピーター・ティールらから調達した資金を使って、1970年代に世界的に流行した「スペースインベーダー」「ポン」「ブレイクアウト」など古典的なビデオゲームで遊ぶAIを開発した。

このゲームAIが人間のプレイヤーを凌ぐ腕前を見せるようになると、ラリー・ペイジの強い関心を惹いた。彼の肝入りでグーグルが2014年1月にディープマインドを買収すると、当然ながらマスクは機嫌を損ねた。

彼がディープマインドに投資していた金額は500万ドル(約4億円)だが、この会社がグーグルに買収されたことで、マスクは自分が投資した以上の金額をリターンとして受け取った。

つまり金銭的には得をしたわけだが、世界的な大富豪マスクの目から見れば大した額ではなかっただろう。

そんなことよりも自分の方が先に注目し、目をかけてきたディープマインドという有望企業をペイジ、つまりグーグルに奪われたような気になったとしても無理はない。後にマスクがグーグルやその傘下に入ったディープマインドを殊更意識するようになる背景にはこの一件があったのだ。

人類全体に奉仕する非営利の研究団体としてOpenAIを設立する

グーグルのような営利企業が人類の将来を左右するかもしれない重大なAI技術を、所詮は自らの利益のために開発・利用するのは危険ではないか。むしろ非営利の研究団体を立ち上げて、そこで単なる一企業ではなく人類全体に奉仕するAI、ひいてはAGIを開発していくべきではないか、とマスクやアルトマンらOpenAI創業時のメンバーは考えた。

たとえばAIの実力に関する現状認識、その進化のペース、さらに将来的な可能性や危険性について彼らは率直に議論した。そして、人間と同等かそれ以上の知能を持つAGIがそう遠くない将来に実現すること、それは人類に途方もない富や便益をもたらす一方で、誤った方向に進化すれば人類に深刻な災禍をもたらし、悪くすれば人類存亡の危機を引き起こす恐れもあること、これらの点で彼らの見解はほぼ一致した。

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