「自分が世界を変えられると本気で信じるクレイジーな人こそが、本当に世界を変えるのだ」。巻頭に引かれたアップル創業者、故スティーブ・ジョブズの言葉だ。スペースX、テスラ、スターリンク、X(旧ツイッター)──イーロン・マスクがこの20年余りで創業・買収した企業群は世界を大きく変えている。ウクライナ戦争さえをも左右しかねないほどだ。
何がマスクをここまで駆り立ててきたのか。描かれる人物像に読者は思いをめぐらせるだろう。邦訳は「公式伝記」と銘打つ。著者はジョブズやキッシンジャーらの評伝で定評がある熟達したジャーナリストだ。その著者がマスクら関係者に2年間密着取材し取り組んだルポルタージュとして読むのが、むしろ妥当かもしれない。
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