犬をデキ愛「徳川綱吉」令和にも通じる深い信念 生類憐みの令の印象が強いが、意外な一面も
『実はすごかった!? 嫌われ偉人伝』では、そんな「嫌われた理由」で章分けしながら、「嫌われ者」ばかりをあえて集めた。なぜ、そんなことをするのか?
それは、歴史上の「嫌われ者」が、実は誤解をされていたり、イメージで語られていたりすることが、ほとんどだからである。
そのなかの1人である、「生類憐みの令」というトンデモ法律で庶民を苦しめた、江戸幕府5代将軍・徳川綱吉について、とりあげよう。
厳しすぎる「生類憐みの令」を発布した
徳川綱吉といえば、何といっても「生類憐みの令」を発布した将軍として知られている。綱吉が、この法令を出した理由は何だったのか。
それは、跡継ぎができないことに悩んだ綱吉の母・桂昌院が僧に相談。すると「子どもができないのは、動物を大切にしないからです。将軍様は戌年(いぬどし)なので、特に犬を大事にしてはどうですか?」と言われて、それを息子・綱吉が実践した……伝記マンガなどでは、そんなふうに描かれることもある。
もし、事実ならば、完全に僧のデタラメに乗せられたことになるが、「生類憐みの令」のヤバさは、その中身だ。
動物を傷つけた人は、わざとではなくても、島流しにされたり、切腹を命じられたりするという、メチャクチャなもの。人々は魚や鳥を食べることもできなくなり、釣りさえも禁止。動物を飼うこともダメだということに……。
動物のなかでも、特に犬を大事にしたため「犬公方」と呼ばれた綱吉。後世からもバカにされた「トンデモ将軍」として有名だ。
しかし、近年においては、また違った評価がされているようだ。
確かに「生類憐みの令」は社会の混乱を招いた。
そんなメチャクチャな法律を作った綱吉は、いかにもヤバい人物と思われそうだが、彼と面会したドイツ人医師のケンペルは、意外にも高く評価する記録を残している。
「綱吉は偉大なリーダーだ。祖先からの美徳をしっかり受け継いで、法律をきちんと守り、人々に対しては、とても優しく情にあふれた人物である」
動物を守るためなら人を死刑にもするような綱吉が「優しく情にあふれた」とは、一体どういうことなのか?
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