
2025〜26年の米国株は、「金融政策」や「トランプ政権による米国ファースト政策」が、インフレ、企業業績、景気、生産性にどのように影響を及ぼすかがポイントとなる。
金融政策については、市場の利下げ期待が後退している。FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げは、4月前半には年内4回と見込まれていたが、足元では年内2回程度の予想となった。インフレが再燃すれば、年内の利下げ0回というシナリオも浮上しかねない。
インフレは、4月にPCE(個人消費支出)コア価格指数が前年同月比2.5%上昇した。22年2月の5.6%をピークに低下してきたものの、FRBが目標とする2%に届いていない。
大幅なインフレ再燃は起こらない
トランプ大統領の関税政策は、いずれ10〜20%程度の平均関税率に落ち着くとみられるが、常識的に考えれば、米国のインフレ率は一時的にせよいずれ上昇することになるだろう。どれだけ上昇するかは、米国企業の価格転嫁次第となる。
トランプ氏は最近、価格転嫁を試みた小売り大手のウォルマートに苦言を呈した。同氏は「他国に関税を課す」とともに「国内インフレ率を引き下げる」ことを公約に掲げている。矛盾するこの政策を同時に実現するには、米国企業がコスト増を受け入れる必要がある。少なからずそういった方向に進むだろう。つまり、市場が懸念するような大幅なインフレ再燃は起こらないと筆者は予想する。
企業が関税コストを受け入れようとすると何が起こるか。容易に想像できるのはサプライチェーンの見直しや、仕入れ先への値下げ交渉だ。主要株価指数「S&P500」構成企業のような大手は高い価格競争力を持つ。したがって、関税影響で利益が削られるのは中小企業が中心となり、大手企業の業績は大きく悪化しないというシナリオが十分に考えられる。
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