Win10で「アップル中心の世界観」は変わるか マイクロソフトの「覚悟」を新社長に聞く

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平野拓也(ひらの たくや)
●1970 年 北海道出身。1995 年に米ブリガムヤング大学を卒業しKanematsu USAに入社。1998 年、Arbor Software(Hyperion SoftwareとのM&A後、Hyperion Solutionsに社名変更)入社、2001 年 ハイペリオン社長に就任。2005 年 8 月、日本マイクロソフト入社、ビジネス&マーケティング部門 シニアディレクターなどを経て2015 年3月2日、代表執行役副社長、2015年7月1日、取締役代表執行役社長に就任

――とはいえ忙しいアプリベンダーにとっては、自社のライブラリーを、ユーザーの少ないWindowsに対応するのは手間が掛かる。マイクロソフトがその作業を代わりにやるプログラムがあってもいいと思います。

それはそのうちやってもいいんでしょうね。しかし、そんな心配をするよりも、今はマイクロソフトへの期待は高まっています。ノキアのことに関連して言うと、パートナーさんにとってはWindows Phone、スマートフォンにジョインするチャンスが増えるという言い方もできるわけですよね。マイクロソフト自身がやるのではなく、パートナーとの連携を軸にすることが明らかになったわけですから。多くのパートナーがそう感じたのではないかと思います。

――Windows 10は、7月29日から提供開始です。

そうです。ただし、これまでのように大きなお祭りをやるわけではありません。まずは、既存のWindowsの無償アップデートからスタートします。その後、パートナー企業が新しいデバイスを次々に発売していくという流れになります。

――平野さんは、すでにいくつかの新しいデバイスは目にしていますよね。かつてノートPCの時にも、日本のメーカーはいろいろなアイデアを打ち出しましたが、スマートフォンではどうですか。面白いものはありましたか。

チームのメンバーが、どこまでハードを見ているかがわらないですけども、いろいろなデザインについては伺っているみたいです。パートナー企業がいろいろな準備をしているところです。

――マイクロソフトはソフトを提供するだけかもしれませんが、個人が使用するガジェットとしては、ハードの見た目も重要です。インパクトのあるものが現れそうですか。

はい。私は期待していますけども。でも、あまりこの件は開示できることがないのです。ご容赦ください。

――ユーザーにとって、デバイスの世界観は、アップルが築き上げたものが主流であり、マイクロソフトは挑戦者です。どのような点にチャンスがあると考えていますか。

Surfaceのような、2in1が支持される

今は大きなチャンスがあると思っています。日本だけでなく世界全体について、ということでお話します。

たとえばアップルのiPadなどのタブレットはすばらしい製品です。今までにない使い方の提案をしていると思います。しかし一方では、普及が一巡して売り上げが伸びなくなった。成長率も非常に鈍化している。今、どのような声が出ているかといえば、「パッドとかタブレットは便利だけど、かゆいところを、かけないよね」という不満です。こうした声は、よく聞きます。結局、どうなったのかといえば、タブレットを持って、PCを持って、スマホを持って……となってしまった。便利になったはずが、今までより重くて大変じゃないか、と。

――全部、持ち歩かなくてもいいように思いますが。

いやいや。3つのデバイスを全部持ち歩かないとしても、それぞれの電源コードやプロジェクタへつなぐコードなども持って歩く必要があるわけです。今のモバイル環境は、いざ仕事で使おうとなると、手軽でも身軽でも何でもないかもしれない。そういった背景もあって、たぶん今はSurfaceみたいな、2in1(ツーインワン)がものすごく支持されているんです。

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