Win10で「アップル中心の世界観」は変わるか マイクロソフトの「覚悟」を新社長に聞く

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ハードウエアとソフトウエアの最高の体験をお客様にしていただきたい。それが自社デバイスの役割です。利用価値をしっかり訴求するという目的でやっている。もちろん、一生懸命やっています。ただ、一方でそれで一気にシェアを奪うつもりはない。パートナーにもいろいろユニークなデバイスを作っていただくというところを意図しているのです。

――ところで3月に社長交代を発表してから、引き継ぎを進めてきましたが、特に力を入れていることはありますか。

日本マイクロソフトが今、力を入れていること

まずは樋口泰行前社長と、主要な取引先にはあいさつに回っています。350社くらいを年末までに2人で回っていきます。顔が見える形で、しかも前任者と一緒にきちんと回っていく。これはしっかりやります。

それ以外のことでいうと、今まではどうしてもデバイスを中心としたビジネスの考え方だったので、人の行動を中心としたビジネスモデルに変えなくちゃいけないというところを強調しています。

朝から晩までお客様はコンシューマーだったり、プロフェッショナルだったり、あるいは車の中であったり、いろいろな場面でデバイスを触るわけです。触るデバイスの種類も、Windowsデバイスもあれば、iOSデバイスもある。その中でお客様に満足して使ってもらうにはどうしたらいいか。

言うのは簡単ですが、指標のベースがこれまでとまったく変わります。今までだったら売り上げ何%成長という目標を掲げればいいのですが、そうではなくなる。戦略の持ち方、オペレーションの持ち方、組織体制の3つを合わせて変えないとダメ。これはかなり根本を変えなければ、いくら口で言っても、全然意味がない。

――すでに新しい体制にはなっていますか。

すでに新しく動いている部署もあるし、これからもう少しやっていかなければいけない部署もあります。ただ、方向性という意味では、どっちの方向に進めなくちゃいけないというところは、もう7、8割方できています。少なくとも7月からの新会計年度を始めるのに必要な分は、新しくしてあります。

――具体的には、何を変えたのでしょうか。

ひとつはインパクトポイントをどこに置くかですね。たとえばお客様が弊社のイベントにお越しいただいたとする。そのお客様が関心を持ったことについては、すぐにフォローをしなければいけない。2週間待たせてしまってはダメなのです。実はそういったオペレーションは過去4カ月で変えました。コンタクトをするまでに数週間かかっていたのですが24時間以内に必ずファーストコンタクトを取るというシステムに変えました。

――ファーストコンタクトということは、「お越しいただきありがとうございます」というメールですよね?

単にお礼をするだけではなく、イベント会場で聞かれたところをちゃんと確認して、必要な情報をお渡しするという作業も含みます。

――それを徹底すれば、エンゲージメントの確率が高くなるでしょうね。

全然違いますね。確実に、案件につながる確率が高まります。こうしたことを行う際には、繰り返しになりますが、戦略とオペレーションと組織の3つが一緒に動かないとダメです。今のは一例ですが、社長になる前に見えたところについては、すでに手をつけました。これからも、いろんなところの考え方、アプローチのポイントを見直していきます。 

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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