秋田の無人駅で「"がっこ"爆売れ」感動の舞台裏 "漬物危機"に瀕したお母さんたち「3年間の奮闘記」

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大阿仁ワーキングとお母さんたちは腹を決めた。改正食品衛生法の経過措置期間は3年間。場所探しと資金繰りが同時スタートした。

空き家を改修、公共施設を借りるなど試行錯誤の中、秋田内陸線にある無人駅・比立内駅の駅舎が空いていることがわかった。

駅舎はホームに出るために通過するだけ。運賃精算は車内のため券売機もない。かつてのテナントスペースは十分な広さがあり、国道沿いというロケーションも申し分ない。

「ここを借りよう!」。内陸線を運営する秋田内陸縦貫鉄道株式会社社長の吉田裕幸氏(61歳)に交渉に行くと、すぐに話が決まった。

「一も二もなく大賛成でした。内陸線は駅を地域の交流拠点にする取り組みを進めています。無人駅が伝統の食文化である漬物作りの拠点になって、地域の人たちが集う場ができる。非常にありがたかった」(吉田社長)

比立内駅
比立内駅の全景。四方を里山に囲まれ、のどかな風景が広がる(写真:秋田内陸縦貫鉄道)

資金100万円余りが足りない…

2021年9月。無人駅の活用が決まった頃、当時、北秋田市の地域おこし協力隊だった斎藤美奈子さん(36歳。現・大阿仁ワーキング理事、合同会社アニーク代表)が参画。夢はさらに大きくなる。

がっこステーション
斎藤美奈子さん(写真右)と“お母さん”たち。左から、がっこ作りの名人・松橋コト子さんと松橋幾子さん(写真:Anique)

加工所だけではもったいない。広さを活かして地域の交流スペース兼コワーキングスペースも作り、先行してオープンさせることが決まった。

「地域の人たちに親しまれて、必要な場所にならなければ新しい交流は生まれません。そのためにがっこステーションを浸透、PRする時間が必要だと思いました」(斎藤さん)

駅舎の改修は斎藤さんが受け持ち、地域おこし協力隊の活動費などから灯油代やペンキ代を捻出して、友人や地域おこし協力隊の仲間たちと一緒に自力で行った。その間、がっこ市メンバーのお母さんたちはせっせと自宅の作業場でがっこ作りに邁進する。

比立内駅
リノベーション前の駅舎の中(写真:Anique)
比立内駅
リノベーション後の駅舎の中(写真:Anique)

2022年1月、先行して比立内駅舎内にコワーキングスペース「阿仁比立内がっこステーション」がオープン。2月、がっこ市開催。次はいよいよ加工所の設置だ。

大阿仁ワーキングとお母さんたちは共同加工所を作る目的から資金繰り、改正食品衛生法の遵守について、そして複合施設としての運営方法まで、1年かけてじっくり話し合った。

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