「8時間インターバル制」は過労死を減らすか 労働弁護士が考えるメリット・デメリット
通信大手のKDDIがこのほど、管理職でない社員約1万人を対象に、前の終業から始業まで「8時間以上」の休息を取ることを義務づける「勤務間インターバル制度」をスタートさせた。
報道によると、同社は7月からこの制度を就業規則に加えた。たとえば午前3時まで働いた社員は午前11時まで始業時間をずらす。また、休息が11時間未満の日が1カ月に11日以上あった社員に対しては、勤務状況の改善を指導し、残業が目立つ部署には是正勧告も行う。
規則に違反していないか否かは、パソコンの起動時間や社員が入力した出勤簿データなどで確認する。処罰規定はないが、産業医との面談や労使による委員会のチェックなどで、改善を促す仕組みになっているという。
労働問題に詳しい弁護士の評価は?
KDDIのように、仕事の「インターバル」(間隔)を重視した制度を打ち出す企業が少しずつ現れてきているようだ。労働問題に詳しい弁護士はどう評価するのだろうか。山田長正弁護士に聞いた。
「休息時間を定めて、労働者の安全と健康を確保する『インターバル制度』は、労働時間の規制として、ひとつの有効な方法であると考えられます」
山田弁護士はこう切り出した。そもそも、これまで労働時間の規制には、どのような制度があったのだろうか。
「労働法における労働時間の規制としては、時間外労働の限度に関する基準(平成10年労働省告示第154号)があります。
しかし、日本では、労使協定と割増賃金の支払いによって、時間外労働が可能になっています。そのうえ、特別条項を設ければ、その時間を上回って働くことすらできるため、さほど実効性のある規制となっていませんでした」
インターバル制度は、どのようなメリットがあるのだろうか。