「8時間インターバル制」は過労死を減らすか 労働弁護士が考えるメリット・デメリット

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「メリットとしては、時間を区切ることによる労働の効率向上などが挙げられます。特に直接的な効果としては、長時間労働を抑制することによって、労働者の健康面の確保が挙げられます。

厚生労働省が、過労死対策に示した『労働者の24時間』の内訳では、基本労働時間が『8時間』、通勤や食事、入浴、余暇などの生活時間が『6時間』、残り『10時間』が睡眠時間と残業時間です。

一般的に睡眠時間が『6時間以下』になると、脳や心臓疾患に伴う過労死のリスクが高まるので、厚労省基準の『10時間』から逆算すると『4時間以上』の残業は規制すべきです。

インターバル制度の実施でこの睡眠時間が確保でき、過労死のリスクを抑えられることが考えられます」

すべての業種に導入することは非現実的

では、デメリットはないのだろうか。

「デメリットとしては、企業にとって、事業運営を直接制限されることとなるため、柔軟な運用ができなくなることが挙げられます。

また、労働者の中には、自分のペースでまとめて仕事を片づけた後に、まとめて休みたいという人もいるでしょう。そのような人にとって、『インターバル制度』は仕事効率を下げる要因になりえます」

将来的に、国の制度として取り入れるべきだろうか。

「法律などによって、すべての業種に一律に『インターバル制度』を導入することは、非現実的な面もあります。また、企業の円滑な事業運営を妨げると考えられるため、慎重な検討を要すると思います」

山田弁護士はこのように述べていた。

山田 長正(やまだ・ながまさ)弁護士
企業法務を中心に、使用者側労働事件(労働審判を含む)を特に専門として取り扱っており、労働トラブルに関する講演・執筆も多数行っている。
事務所名:山田総合法律事務所
 
 
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