3浪目の学力は現状維持どころか「退化してしまった」と語る野洲さん。受験から遠ざかっている自分が受かるわけがないと思い、この年の受験はパスしてしまいました。
こうして、契約社員のまま野洲さんは4浪目に突入します。
高校を出てから4年目を迎えた野洲さんは、相変わらず仕事で忙しい日々を送っていました。
「お客様のところに伺ったり、『どんな服がいい?』と相談してくださったときに対応させていただいたりすると、喜んでいただけました。その日々で私は、社会の一員になれた感覚があって、仕事のやりがいを見つけられました」
このまま受験生活に戻ってこないことも十分に考えられた野洲さんの生活。実際、この年は予備校も行かずに、デパートでフルタイム勤務をしていたそうです。「勉強から逃げる口実にもなった」と語る社会人生活を送ります。
正社員への憧れが芽生える
しかし、彼は勤務をする中で大学に行く必要性を強く痛感するようになります。
「働くうちに、総合職の社員さんと仲良くなりました。そこで初めて、正社員になることへの憧れが出るんですね。でも、デパートの正社員は四大卒の人しか採用していなかったので、秋ごろに『やっぱり大学に行きたい』と危機感を抱くようになったのです」
野洲さんは今まで、ずっと大学に落ち続けた理由は、やはり「演習量の不足」にあると考えました。その姿勢を改めた野洲さんは、自分が使っていた参考書に再び目を通して、今までやったことを思い出す作業を続けました。そして秋には契約社員をやめ、私立大学に絞って、勉強に力を注ぎます。
「秋以降の半年間は、自宅にこもって1日8時間は勉強できました。机に向かっているだけではなく、ちゃんと問題集を解き続け、しっかり記憶が定着するように努めましたね。現代文と、英語の長文読解は必ず1日1回、時間をかけてやりました。
1回間接的に社会に出たので、自分の夢を実現させるためには、大学に入って卒業しなきゃいけないという思いが芽生えました。将来のことを考えたら前みたいにダラダラすることはなくなりました」
社会人経験で大きく意識が変わった野洲さんは、「いい大学に行きたいと思うのをやめて、現実的に入れる大学を受けようと思えるようになった」こともあり、私立大学を4校ほど受け、日本大学の法学部と東洋大学の経営学部に合格し、無事4浪で日本大学の法学部に入学しました。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら