100億の貢献?糞虫の聖地「奈良公園」の奥深き裏側 驚異の自然サイクル!莫大な経済効果生む陰の掃除屋
この謎に答えをくれたのは、昆虫の中でも糞虫という実にユニークなテーマを扱う「ならまち糞虫館」。奈良公園からほど近い路地を散策していた際に見つけた昆虫博物館で、“フン虫王子”を自称する館長の中村圭一(なかむら・けいいち)さんが個人で運営している。
なぜ、奈良公園はシカのフンまみれにならないのか? 中村さんが疑問に答えてくれた。
奈良公園は糞虫の聖地だった
―奈良公園はなぜフンまみれにならないのでしょうか?
それは糞虫のおかげなんです。奈良公園に生息する糞虫たちが、シカのフンを分解して粉にして土に還してくれています。
―糞虫はどんな昆虫ですか?
糞虫は「フンを食べるコガネムシの仲間」のことを指します。ファーブル昆虫記の影響から、糞虫と聞くと“フンコロガシ”を連想して、フンを転がすイメージを持つかもしれませんが、実は日本にいる糞虫の99%はフンを転がさないんです。
木に登らず地面にしかいないので爪が発達していないなどの特徴がありますが、言ってしまえば、フンを食べている普通のコガネムシです。
―大きさや見た目はどんな感じですか?
国内に生息するものだと、大きさは米粒サイズのものから3cm程度のものと比較的小さめです。見た目は、黒っぽい地味な色の種類が多いですが、金属光沢があり赤や緑、紫など地域によりさまざまな体色のあるオオセンチコガネなどもいます。
奈良公園には瑠璃色をしたオオセンチコガネがおり、通称「ルリセンチコガネ」と呼ばれています。大きさは12.4mm~22.0mm程度で、瑠璃色に輝く体がとてもきれいで“日本で一番美しい糞虫”とも言われているんですよ。
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