カリスマが「命懸けで採集する」"幻の虫"の正体 尾根から尾根へと移動、スズメバチに襲われても追う

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幻の虫
“幻の虫”を求めて、樹上7~8メートルまで登るキクリン(筆者撮影)
たかが虫採りというなかれ。“幻の虫”の採集に命を懸ける男たちがいる。なぜそれほどまでに虫に魅入られ、危険を冒してまで山に入るのか――。
今夏の猛烈な暑さも霞むような“熱き”ハンターたちの冒険を、『オオクワガタに人生を懸けた男たち』より一部抜粋・編集のうえお届けする。

カリスマたちの集団名は「INFINITY∞BLACK」

とんでもない凄腕のクワガタ・ハンターたちがいるらしい――。そんな噂が耳に入ってきた。

マタギのような脚力で尾根から尾根へと移動し、人も通わぬ山奥に入っていく。人間離れした嗅覚をもち、真夜中でもスルスルと木に登る。熊どころか心霊現象にも怯まない。

ときにはヒマラヤのハニー・ハンターばりに、数十メートルの崖の上にも挑む。滑落して肋骨を折っても、妻に怒られるのが怖くて黙っていたという。

都市伝説みたいな話だが、この男たちは実在する。そして驚いたことに、彼らは苦労の末に見つけた“獲物”を、「採ることが目的ではない」と言うのだ。虫を売ってお金に変える気はさらさらない。

カリスマリーダーが束ねる集団名は「INFINITY∞BLACK(インフィニティーブラック)」。仲間内には掟が存在し、裏切った者は破門となる。なんだか物々しい連中を想像してしまうが、素顔は虫好きなオッサンたちの集まりだ。ただ、彼らは常人には見ることのできない景色を知っている。

メンバーが探し求めるものはただ一つ。昭和の少年が憧れ続けた日本昆虫界のトップスター、オオクワガタだ。

【写真】「カッコよすぎ…!」“カリスマハンター”たちが命懸けで採集する「幻の虫」(10枚)
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