100億の貢献?糞虫の聖地「奈良公園」の奥深き裏側 驚異の自然サイクル!莫大な経済効果生む陰の掃除屋

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―数字で伝えられるとイメージしやすいですね。

ちなみに、奈良の財政は現在50億円ぐらいの黒字なんですけど、もし糞虫の貢献に支払いをしなくてはいけなくなったら赤字に転落しますね(笑)。 糞虫たちの活動は、それほどのコストを無償提供してくれているということです。

奈良公園にはたくさんの観光客が来てくれて、お土産物屋、飲食店、ホテルが賑わっています。観光客の目当てはシカですが、糞虫がフンをきれいにしてくれなければ、お店の人は困るし、観光客も来てくれなくなるでしょう。気づかれないところで、奈良の財政に大きく貢献してくれているのです。

―奈良公園以外でも、こうした糞虫の活躍事例はあるのでしょうか?

はい。例えばオーストラリアで国の窮地を救った話が有名です。オーストラリアには、カンガルーなどのフンを食べる糞虫が生息していました。しかし、それらの糞虫は大きなフンの処理が得意ではなかったため、人間の持ち込んだ牛や羊など大量の家畜たちのフンは分解しきれず「糞公害」が社会問題化したことがありました。そのとき、1968年から1982年にかけて、国が主導で糞虫を導入しています。

ニュージーランドでも、家畜のフンが社会問題となり民間が主導となって糞虫を導入するなど、世界のいたるところで糞虫は活躍しています。

しかし一方で、外来種を持ち込むということに関して、生態系的な観点から疑問視する声もあります。

フンをほじくる奇抜な観察会が魅力

―中村さんの説明を聞いて、糞虫のすごさを知り興味を惹かれました。

糞虫の観察会を定期的に行っているので、もっと知りたい方にはぜひ参加いただきたいですね。フンを餌にする昆虫の採集ということもあり、一風変わった観察会ですが、いろんな方に来ていただいていますよ。

―どんな観察会をしているのでしょうか?

基本は奈良公園に落ちているフンを割りばしや木の枝などでほじくり、そこで見つけた糞虫を観察するという内容です。

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