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100億の貢献?糞虫の聖地「奈良公園」の奥深き裏側 驚異の自然サイクル!莫大な経済効果生む陰の掃除屋

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  • 丹治 俊樹 日本再発掘ブロガー・ライター
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―糞虫は何種類くらいいるのですか?

日本国内では現在、約170種類の糞虫が見つかっています。その中でも奈良公園では約40種類と、日本で一番たくさんの種類が見つかっています。

世界中どこでも、動物のフンがある場所であれば糞虫は生息しています。しかし、水洗トイレが普及し、ペットのフンも持ち帰るのがマナーとなっている今の時代、日本では糞虫は身近な虫ではなくなりつつあります。

だからこそ、そこら中に餌となるシカのフンがあるという恵まれた環境が保たれてきた奈良公園は、数多くの糞虫が観察できる貴重な場所です。奈良公園は“糞虫の聖地”とも言われています。

糞虫は、鹿せんべいを食べたシカのフンを好む?

―奈良公園を散策しましたが、糞虫の存在に気が付きませんでした。こんなに活躍しているのにどうしてでしょう?

糞虫はフンの中に潜り込むか、フンの下に隠れている状態じゃないと落ち着かないんですね。そのため、フンの表面を見るだけでは見つかりません。木の枝などを使ってひっくり返したりほじくったりすると、わりと簡単に見つかります。

とはいえ、どんなフンにもいるわけではありません。排泄されて間もない湿り気が残っているようなフンだと見つかりやすいです。干からびたようなカピカピになってしまったフンにはいません。

―湿り気のあるほうがいいんですね。

狙いめは鹿せんべいを食べたシカのフンです。鹿せんべいを食べているシカは、野生のシカがするコロコロしたフンとは異なり、自然界では見られない柔らかくて大きな塊となるフンをするんですね。そうなると、フンの中が乾燥しにくく長くにおいが残ります。糞虫はフンのにおいをもとに集まってくるので、糞虫にとっては見つけやすく良いフンになるわけです。

しかし、そうした良いフンがある場所は鹿せんべいの売店の近くになるので、観光客も多く、踏まれるリスクが高いことなどから糞虫にとっては棲みづらいわけです。そのため、良いフンがあるのにその場所が糞虫にとっては棲みづらいんですね。需要と供給のミスマッチが起きています。

とはいえ、売店から少し離れた場所にも湿り気のあるフンはありますし、それをいくつか見れば糞虫は見つかります。

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【奈良公園では毎日約1トンのフンがばらまかれる】

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