エバラでも勝てず「宮崎の定番"焼肉たれ"」の正体 宮崎でシェア53.8%「戸村本店の焼肉のたれ」の秘話

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この「戸村本店の焼肉のたれ」はいかにして生まれ、宮崎や鹿児島で販路拡大をしてきたのか、そしてなぜ南九州で支持されているのか、製造元である株式会社戸村フーズを訪ねてその理由を探ることに。勤務歴約20年の若松工場長が話を聞かせてくれた。

戸村本店のたれ
戸村本店の焼肉のたれ。赤、緑、金のパッケージが目印だ(筆者撮影)

病院の看護師たちが支持 おいしくて手軽なたれ

―「戸村本店の焼肉のたれ」について教えてください。

醤油をベースに、バナナやリンゴ、ニンニクなどの材料を釜で直火炊きして作っています。

果物のフルーティーさを生かした甘みと、ニンニクのガツンと効いた味わい、直火炊きによる独特のコクと風味が特徴で、味は創業当時から変わっていません。とろみがあり、肉に絡みやすいのも特徴です。

―たれ誕生の経緯は?

創業者の戸村吉守(故人)が、奈良でお肉の修業をした後に、日南市に戻ってきて小さな精肉店を出していました。道路に面した場所でお肉をケースに並べて販売していたのですが、光が当たることで肉の色が変わってしまう。そこで、何かいい方法がないかというところで、一緒にお店をやっていた弟と考案したのが肉をたれに漬け込んで売ることです。

しかも、たれ漬けなら買って帰ったらあとは炒めるだけですよね。精肉店はちょうど県立日南病院に近くて、仕事が忙しい看護師さんたちが帰り道に寄ってくれていたので、うまくマッチしたようです。

たれ漬けの肉はおいしくて手軽ということで、どんどん売れて、すると今度は「たれだけ売ってほしい」という話になったらしく、お玉1杯50円でビニール袋に入れて販売するようになりました。

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