藤原道長「我が世の春」支えた露骨な"脱税ほう助" 改革を目指した菅原道真は失脚の憂き目に
「国家というものは税によってつくられ、税がつくられると必ずと言っていいほど脱税が発生する。そして、脱税は国家の盛衰に大きく関わっていく」。そう語るのは、元国税調査官の大村大次郎氏。
大村氏によれば、平安時代に「我が世の春」を謳歌した藤原道長の繁栄の陰にも、実は「脱税」の存在があったという。
※本稿は、大村氏の著書『脱税の日本史』から、一部を抜粋・編集してお届けします。
農民・役人・貴族が結託した「脱税スキーム」
平安時代の社会では、農民や役人(国司)、京都の有力貴族が結託した「脱税スキーム」のようなものが出来上がっていました。
貧しい農民は戸籍を誤魔化して脱税し、それでも生活が苦しくなれば、富裕な農民に自分が与えられた公田を売ることで税を逃れます。富裕な農民は貧しい農民から買い取った公田を荘園化し、税を逃れます。
その際に、役人(国司)に賄賂を贈り、違法な荘園化を黙認してもらいます。国司は京都の有力貴族に貢物を贈って後ろ盾になってもらい、朝廷からの追及を逃れます。
農民・役人・貴族が結託した脱税スキームにより、朝廷の公田は瞬く間に減り、税収が不足することになってしまいます。
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