「源氏物語」の時代に恋愛が重要視された深い理由 NHK大河ドラマ「光る君へ」で描かれる紫式部の人生
平安時代は男女関係が政治関係を大きく左右した
日本最高峰の古典文学と言われる『源氏物語』。その主たる題材は、まさに「愛憎」です。男性と女性の間で繰り広げられる恋愛やそこから生まれる憎しみや悲しみが、赤裸々に描かれた作品です。なぜ、平安時代にこの物語が生まれたのか。それは、男女の恋愛が大きく政治に影響を与える時代だったからこそ、です。
政治というものは、基本的にはシステムで動くものなので、「ドロドロとした人間関係が影響するわけがない」「恋愛で政治が変わるわけがない」などと言われてしまうのですが、平安時代は男女関係が政治関係を大きく左右する重要事項だったのです。
『源氏物語』が生まれた一条天皇の時代は、藤原氏の内部で大きな権力闘争が起こっていました。対立していたのは、藤原定子の兄である藤原伊周と藤原彰子の父である藤原道長です。
定子と彰子は共に一条天皇の正妻であり、同じ立場にいるライバルのような存在。決め手となったのが、どちらの女性が天皇により多く愛してもらい、早く子をなすことができるのかでした。
「天皇の子どもを誰が生むかによって、誰が権力を握るか決まる」という権力構造は、偶然性が作用する非常に危ういものですが、これが摂関政治における一つの特徴です。
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