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「源氏物語」の時代に恋愛が重要視された深い理由 NHK大河ドラマ「光る君へ」で描かれる紫式部の人生

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この描写は、当時の平安時代を語る上で、決して誇張されたものではありません。貴族たちが優雅な生活を送る一方で、平民たちは住む家もなく、食べるものもない。流行り病で簡単に死んでしまうし、死体がゴロゴロと転がっているような不潔な環境で生きていた。貴族たちが暮らしていた空間とはまったく別ものの世界がそこにありました。

貴族社会の一部ではそうした平和が保たれていたからといって、日本全体が平和な時代だったわけではありません。

『源氏物語』が平安時代を代表する作品だとは言いがたい

『源氏物語』が日本文学の最高峰の作品であることには、僕は異論の余地はありません。しかし、『源氏物語』が平安時代を代表する文学かというと、少しの疑問があります。

同作は平安王朝を代表する文学ではありますが、平安時代の大多数の人々の生活はそこには描かれていません。だから、『源氏物語』が平安時代を代表する作品だとは言いがたい。

平安時代の貴族社会はとにかく狭かったので、僕の推測ではありますが、貴族たちの数はおそらく500人もいなかったのではないでしょうか。

その小さなコミュニティのなかで『源氏物語』の読者となった人々はもっと少なく、藤原道長や彰子、またはその取り巻きをはじめとする、ごく一部のスーパーエリートだけです。朝廷内でも『源氏物語』の名前を知っている人はいたかもしれませんが、実際に読む機会を持てた人というのはほとんどいなかったのではないでしょうか。

『源氏物語』が貴族の教養として定着するのは、室町時代以降で、それまでは一般的にこの作品が読まれることはありませんでした。

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室町時代の貴族たちが娯楽や教養として『源氏物語』を愛した裏には、「ああ、昔は自分たち貴族にもこんな華やかで良い時代があったのだ」と失われたかつての栄光を懐かしむ側面が強かったのではないかと僕は思います。

鎌倉時代に入ってから、徐々に貴族の威勢は失われ、暴力で物事を解決する武士の時代へと移行し、以降、貴族は財産もなければ権力もない形骸化した存在でした。かつてはセレブだった昔の時代を偲ぶように、多くの貴族たちが『源氏物語』を愛好したのでしょう。

2024年の大河ドラマでも『源氏物語』が取り上げられます。作中で描かれる華やかな王朝絵巻のような世界は存在したかもしれませんが、あくまで非常に限定的な世界であり、裏には名もなき庶民の苦しい日常があったことを、ぜひみなさんにも知っていただきたいと思います。

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