藤原道長「我が世の春」支えた露骨な"脱税ほう助" 改革を目指した菅原道真は失脚の憂き目に

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藤原氏というと、荘園で巨額の富を築いたというイメージがありますが、藤原氏が荘園を拡大したのは12世紀以降のことであり、藤原道長の時代では賄賂が富の主財源だったのです。つまり、藤原氏は賄賂によって「我が世の春」を謳歌していたわけです。

自らの首を絞めていく藤原氏の「蓄財術」

しかし、この藤原氏の蓄財術は、自分の墓穴を掘るものでもありました。

国司たちは本来国に治められるべき税を不正に横取りしていたのです。そして、国司が藤原氏に巨額の贈賄をするということは、国司たちはその贈賄分よりも大きなメリットがあったということです。

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つまり、藤原氏が受け取っていた賄賂の何倍もの富が国司の手に渡っていたわけです。その分、国の税収が減っていきます。国の税収が減り、朝廷の権威が落ちていけば、藤原氏の存立基盤も危うくなっていくのです。

藤原氏など平安の高級貴族たちというのは、なんやかんや言っても、朝廷の威厳の中で生きていました。朝廷に威厳があるからこそ、その朝廷の中で高い身分である彼らが栄華を謳歌できていたのです。

国司たちの不正を容認し、朝廷の財力が削られていけば、やがて自分たちの存立基盤が脅かされることになります。

藤原氏をはじめとする平安時代の高級貴族たちは、そこに気づいていなかったのです。

大村 大次郎 元国税調査官

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おおむら おおじろう / Ojiro Omura

国税局に10年間、主に法人税担当調査官として勤務。退職後、ビジネス関連を中心としたフリーライターとなる。単行本執筆、雑誌寄稿、ラジオ出演、『マルサ!!』(フジテレビ)や『ナサケの女』(テレビ朝日)の監修等で活躍している。ベストセラーとなった『あらゆる領収書は経費で落とせる』をはじめ、税金・会計関連の著書多数。一方、学生のころよりお金や経済の歴史を研究し、別のペンネームでこれまでに30冊を超える著作を発表している。『お金の流れでわかる世界の歴史』は「大村大次郎」の名前で刊行する初めての歴史関連書である。近著に『税務署対策 最強の教科書』『「土地と財産」で読み解く日本史』。

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