コマツはここまでやる! 中国建機市場トップへの執念

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コマツはここまでやる! 中国建機市場トップへの執念

上海から高速鉄道で約2時間。江蘇省にある油圧ショベル工場・小松(常州)建機公司の生産ラインでは、従業員の姿がまばらだった。訪れたのは8月上旬。例年でも7~9月は業界のオフシーズン。加えて今年は金融引き締めと競争激化の打撃が厳しく、生産調整のさなかだった。工場のバックヤードでは、黄色いコマツカラーのショベルが静かに出荷を待っている。「今の工場在庫は1カ月程度。生産調整をしてようやく落ち着きました」。現地の日本人社員は安堵の表情で説明する。

コマツはリーマンショック後の日本の製造業において、抜きんでた輝きをまとっている。2011年3月期は急激な円高進行をはねのけ、売上高は3割増。建機販売の海外比率は85%と国内屈指のグローバル企業だ。長年のライバルである米キャタピラーには売り上げ規模こそ劣るが、営業利益率(12%)では勝る。成長を支える車輪は二つ。豪州などの資源採掘需要と、ここ中国だ。国別の売上高では中国が最大(グラフ参照)、収益性も全社平均より高いという。

そのドル箱市場の変動が、コマツの経営に変化をもたらさないはずはない。7月下旬、12年3月期の中国売上高予想を期初の3800億円から700億円下方に見直したが、この減収で粗利は200億円吹っ飛ぶ。幸い資源需要は絶好調、被災地復興で日本市場も息を吹き返し、業績を支える。「中国市場自体も12年1月の春節商戦は活況が見込まれる。中期的にも成長市場であると見込んでいる」(藤塚主夫・常務執行役員)。だが猛烈な地場のライバルの攻勢を受けて、戦略再構築の時期に来ていることは間違いない。 

 

現地駐在15年、コマツの“ミスターチャイナ”茅田泰三・中国総代表は、まなじりを決して言う。「三一重工とシェア争いをするつもりはない。しかし、これからも今までどおりナンバーワンブランドであり続ける。そのためにやるべきことは、コマツにとっては明確だ」。

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