コマツはここまでやる! 中国建機市場トップへの執念

だが中国では、このトータルバリューを最大化するうえで大きな障害が存在している。偽物部品だ。中国での稼働配車台数約10万台(新車販売し、かつ稼働中である建機)のうち7割は、町場の修理工場で偽物部品を使ってメンテナンスされている。日本など先進国ではほぼ100%が代理店で、純正部品を使って修理されているのとは大違いだ。しかも、中国では代理店ですら偽物部品を使う。現状では、中国全土で使われている部品の実に9割が偽物だ。偽物部品は故障の原因であり、中古車価格の値崩れを招く。

バリューサイクルの回転を妨げる偽物部品を減らすためコマツは昨年、“執念の見える化システム”を導入した。燃料フィルターカートリッジなど主要部品にICタグを装着。部品の状態や交換履歴を遠隔で追跡管理し、純正部品の導入を顧客に働きかける。

また、新品部品ではなく中古建機の部品をメンテナンスしたリビルド部品の普及にも力を入れている。リビルド品は偽物の倍の価格だが、新品に比べれば4割程度のコストに抑えられる。中古部品をリビルド品に再生させる作業は今はコマツが手掛けるが、今後は研修を行い、代理店側でもできるように進める。代理店での偽物部品撲滅が期待できる。

冒頭の常州工場に戻る。この日、ラインは閑散としていたが、実は事務棟は熱気であふれ返っていた。年に1度のQC(品質管理)大会。サプライヤーも集まるこの場で、梶谷・中国副総代表は呼びかけた。

「中国企業との競争が激化しているが、人も組織も競争と改善で成長する。実際コマツはそうして幾多の存亡の危機を乗り越えてきた」

三一重工もキャタピラーも戦略のアクセルを最大限に踏んでいる。コマツにとって金城湯池の中国はすでに過去のもの。正念場はこれからだ。

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(杉本りうこ、高橋志津子 =週刊東洋経済2011年9月17日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 

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