「松屋のコラボ店舗」が急拡大している納得理由 それぞれのこだわりカレー、いったい何が違うのか

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松屋フーズによると「カレーに対する創業者の思い入れが非常に強い」ことが、松屋のカレーへのこだわり、カレー人気につながっているようだ。大手カレーチェーンのような万民受けする味というよりは、スパイス味があってしっかりした味だ。

松のやで提供されているのは「黒カレー」。手仕込みロースかつとの相性に徹底的にこだわり、辛さの中にも旨味が感じられるという。

マイカリー食堂にはカレーソースだけでも「カツに合うカレー」「マイカレー」「ビーフカレー」の3種類がある。辛さが選べるうえ、追いスパイスで自分好みの辛さに調整することも可能だ。

かつカレーがマイカリー食堂の看板メニューに

同ブランドはカレーも人気だが、岩﨑氏によると、看板メニューはロースかつカレー。松のやと同じ食材を用い、店内で手仕込みされているロースかつが高コスパと評価が高いのだ。なお、マイカリー単体店ではなく松のやとの複合店のほうが、さらにコスパ高く食べられる。なぜか、ロースかつカレーの価格が両者で異なり、マイカリー食堂では790円、松のやとの複合店では690円だからだ。

たっぷりチーズハンバーグオムレツカレー
「たっぷりチーズハンバーグオムレツカレー」(1150円)。スパイシーでコクのあるカレーがオムレツの甘みによく合う(撮影:梅谷秀司)

今回、3店舗複合の「松屋食堂」ではマイカレーの中辛を、松屋と松のやの複合店舗で松屋特製ビーフカツカレーを試食した。

マイカレーは、ひと口目はさほど辛く感じられないが、複数のスパイスが組み合わされたような奥行きがあり、後からじわじわくる辛さだ。

ロースかつは店内で手仕込みされている(写真:松屋フーズ)

ちなみにマイカリー食堂にはかつに合うカレーがラインナップされているが、確かに、マイカレーはとんかつに合わせると、カレー、とんかつ双方がもったいないように思う。かつにしっかりと旨味があるので、やや、マイカレーの味と溶け合わないような気がするのだ。

松屋と松のやの複合店舗で食べられる「松屋特製ロースかつビーフカレー」(870円)は、、カレー自体が牛肉やフルーツをじっくり煮込んだ、かなりしっかりと濃厚な味だ。ゴロッとした肉の塊も入っている。しかしなぜかかつといっしょに食べても、双方の旨味が喧嘩することはない。考えてみれば松屋ではカレーに味噌汁を合わせるので、和食との相性も考慮されているのかもしれない。

松屋と松のやの複合店で食べられる「松屋特製ロースかつビーフカレー」(870円)。味噌汁とセットになっているのが嬉しい。サラダは別売り(筆者撮影)

このように、それぞれのこだわりカレーがブランドの魅力の一つでもあるのだが、複合店になると、「カレーコンプレックス」とも言うべき複雑な問題が起こる。

まず、今回訪ねた3店舗の複合店で扱うのはマイカリー食堂のカレーのみのようだ。そして松屋とマイカリー食堂の複合店では、店によって扱う種類が異なる。松屋と松のやの複合店では、松屋のカレーのみとなる。

これらの違い、一般消費者にとってはわかりにくい。複合店を今後増やしていくにあたり、カレーコンプレックスによって、ブランドもわかりにくくなってしまわないかと懸念される。

また、今は「松屋」「松のや」が並んでいることでの「違和感」が、ブランド認知向上に役立っている。将来的に複合店が松屋フーズの「当たり前」になってしまったとき、松屋フーズブランドとしての底力が試されることになるのではないだろうか。

圓岡 志麻 フリーライター

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まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

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