「松屋のコラボ店舗」が急拡大している納得理由 それぞれのこだわりカレー、いったい何が違うのか

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すき家はメニュー数は少ないものの、うな丼やほかの丼もの、カレーなどを展開。国内1957店舗、海外675店舗となっている(2024年5月)。

牛めし
松屋の看板メニュー、「牛めし」(400円)。1.1ミリの薄さにカットし煮込んだ牛肉の、とろけるようなやわらかさが特徴(撮影:梅谷秀司)

松屋フーズ、吉野家ホールディングス、すき家のゼンショーホールディングス、いずれのグループも複数業態を抱えており、吉野家ははなまるうどんを、ゼンショーははま寿司、なか卯、2023年4月に傘下に収めたロッテリアなどなど、すき家以外に国内18ブランド展開。

松屋フーズが展開するのは2013年にスタートした「マイカリー食堂」など8ブランドだが、上記が既存のブランドを後から傘下に収めているのに対し、松屋フーズは自前で開発しているところに特徴がある。

新業態開発を積極的に進めており、2024年に生パスタ専門店「麦のトリコ」を出店している。

「複合店には需要がある」という気づき

このように自社開発ブランドが多いことは、複合店を増やしやすい背景にはなっているだろう。

しかしそもそも、なぜ独立しているブランドをわざわざドッキングさせなければならないのだろうか。

「松屋」「松のや」のロゴが並ぶ複合店。写真は住吉店(筆者撮影)

同社事業推進部で複合企画について担当している岩﨑孝文氏は次のように説明する。

「今はもう存在しないものの、とんかつチェーンと蕎麦チェーンのコラボが最初の複合店。重いものと軽いもので需要があるのでは、という着想から始めたが、その狙いが思いのほか当たり、想像以上に売り上げが伸びた」(松屋フーズ事業推進部・複合企画グループ チーフマネージャーの岩﨑孝文氏)

店内。3店舗複合店の場合、注文されるメニューの構成比は松屋メニューが50%だという。もともと松屋のメニューが多いことも理由だろう(撮影:梅谷秀司)

「複合店には需要がある」という気づきを得て、2020年、松屋とマイカリー食堂の複合店舗梶が谷店を出店、その後、松屋と松のやの複合店、浦和中町店を出店し、同社の複合店戦略が本格的にスタートする。
複合店舗の中でも勢いがあるのが、とんかつの業態だ。

ロースかつ&有頭大海老フライ(2尾)定食
「ロースかつ&有頭大海老フライ(2尾)定食」(1350円)。サクッと軽い衣、やわらかくジューシーな肉が合わさった、食感と旨味が醸し出すハーモニーは店内手仕込みの賜物だ(撮影:梅谷秀司)

松のやは前身「チキン亭」として2001年にスタート。店舗で一から手仕込みし、衣はサックリ、肉はふっくらジューシーに仕上げたとんかつが自慢だ。2016年頃から店舗網が拡大し始め、現在は単体124店、ほかの業態との複合店441店舗となっている。急速に複合化が進んでいるのだ。

「複合店にすることで、2倍とまでいかないが売り上げに貢献できるのは間違いない。また、複合店の店舗数が増えたことによって、松のやの看板が以前より認知されてきていると感じている。複合店の付加価値とは、それぞれが専門店であること。相乗効果でブランド力アップにつながっているのではないか。つまり2つの専門店の味が1つの店舗で味わえる、ということだ」(岩﨑氏)

多岐にわたったメニュー
複合店はメニューの幅が広いため、ファミリーやインバウンドにとっても使いやすい(撮影:梅谷秀司)
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