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苦戦のタカタと、アイシン精機を分析する 2社を比較すれば、自動車の未来がわかる

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最後に、自動車部品業界の動向を見るために、アイシン精機を分析します。「世界の車は、アイシン精機とデンソーの部品がないと走らない」と言われるほどプレゼンスの大きな会社ですので、アイシン精機の業績を見れば、同業界の大まかな動向を読み取ることができます。

アイシンはトヨタグループと将来を見据えている

損益計算書(7ページ)を見ると、同社の売上高は前期から5.0%増の2兆9630億円。ところが、営業利益は3.2%減の1657億円となっています。減益となった理由は、研究開発費や減価償却費の増加です。

今、自動車業界は先を見据えて改革を行っています。近い将来、電気自動車や燃料電池車が普及しますと、ミッションやサイレンサーなどの部品が不要になる可能性があるのです。部品点数自体、大幅に少なくなります。

特に、アイシン精機の主力製品はミッションですから、これが不要になれば事業構造が大きく変わる可能性があるのです。もちろん、新興国では従来のエンジンの自動車の需要も伸びていきますから、それへの対応も必要です。

そこで、研究開発費を積んで、次の主力製品を生み出そうとしているのではないでしょうか。

5月には、トヨタとマツダが技術提携を結ぶことを発表しました。これも、先を見据えた戦略です。すでにトヨタ内部では、グループ内で関係の強い部品系列会社の製造品目の改編を進めています。

部品の主力サプライヤーであるアイシン精機やデンソーなどの重複事業を整理し、統合しているのです。これは、コスト削減や生産効率の向上という理由もあるでしょうが、電気自動車、燃料電池車の普及、さらにはアフリカなどの新興国市場を含めた世界戦略を考えているのではないかと思います。

アイシン精機は、この期は減益となりましたが、これはネガティブな要因ではなく、むしろ好調な時期に製品開発や構造改革を行っておこうというポジティブな理由ではないかと思います。

自動車部品業界自体は全体的には好調と言えます。ただ、タカタに関しては、自社独自の問題によって業績が悪化しています。繰り返しになりますが、エアバッグ問題の今後の展開次第では、さらに引当金を積まなければならない可能性も少なくありません。今後の四半期ごとの決算や報道には注意が必要です。

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