中国バブルの崩壊は、これからが本番だ 中国市場の「危ない構造」が悲劇を招いている

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今回、中国株は一部で取引停止状態になったが、FYMEでは、すでに主要銘柄であるインジウムやビスマス、ゲルマニウムなどのレアメタルはとっくの昔に実質的に取引停止状態になっている。ひとことで言えば値がつかないからだ。

レアメタル相場を「操作」する中国金融界の「天才」

そもそも、FYMEのシステムを開発した単九良氏とはどんな人物か?彼は1964年5月生まれで現在51才。同氏は汎太平洋レアメタル取引所(FYME)の会長になる前には、香港市場や上海市場で20年以上の先物取引にかかわった。

香港では映画関係の上場企業会長を兼任、上海や天津でも投資関係の企業などを幅広く経営する企業家だ。その彼は先物取引の経験を活かして2011年に中国でFYMEを設立した。だから、中国における「時代の寵児」と呼ばれていても不思議はない。

単氏がFYMEを設立した後、2012年の11月には香港証券取引所が世界の非鉄金属取引の総本山、LME(ロンドン金属取引所)を約1830億円で買収するというビッグニュースが世界を駆け巡った。約20年間も香港証券市場で経験を積んだ単氏としては、非鉄金属よりも中国の影響力が強いレアメタルを扱う取引所を中国で新設したことに自信を強めたのではないかと推察される。

実は、LMEはロンドンに本拠を置き、135年の伝統を誇るのだが、正式な登録メンバーはわずか40社しかない。その表面的なイメージとは違い、極めて限定的な運営がなされておりスペキュレーション(投機行為)やマニピュレーション(価格操作)がされにくい構造になっている。

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