長野県のBLG諏訪(株式会社一夢希〈いぶき〉・小規模多機能型居宅介護)では、近所の美容室から「パーマ紙(パーマをかけるとき、ロッドに巻く紙)」を再利用するための、シワを伸ばしたり広げたりする作業をボランティアで受けている。座ったままできるため、要介護4のメンバーも積極的に作業する。
障害者施設からは、昼食のみそ汁の具の野菜をカットする作業を受注している。多いときは約20人分の玉ねぎやじゃがいも、にんじんなどを包丁で切る。こちらは謝礼を得ている。
おいしいビールを飲むぞ
このほか、地域の酒造会社の協力で、福祉大学の学生や保育園の子どもたちとともに、ビールの原料となるホップを栽培する。ビールが商品化できたら、酒造会社が販売代金の一部を寄付できるかもしれないとのこと、メンバーは「おいしいビールを飲むぞ」と張り切っている。
いずれも高齢化率が高まる山間部の過疎地域であり、また認知症の人に対する偏見がいまだ根強い。
だが、BLGの活動によって変化してきたそうだ。BLG諏訪代表の藤森史考(ふみたか)さん(45歳)は、「『認知症になっても、自分ができることをしていきたいわ』という声をたびたび聞くようになりました」と話す。
認知症の状態に応じて環境調整をすれば、できる作業はある。介護保険サービスを提供する事業所には、その対応力がある。
地域で介護が必要な人が活躍できる場、地域貢献できる機会を作る事業所が増えれば、地域の「認知症」に対する考え方が変化していくことを、BLGの取り組みは証明している。
*1 100BLGプロジェクト全体のルール。
*2 労働の対価となる謝礼が労働基準法第11条に規定する賃金に該当しないこと、および、介護サービスの事業所が利用者を見守り、活動の謝礼を事業所が受領しないことで認められた(若年性認知症施策の推進について、平成23年4月15日付)。
*3 当初は、井原市社会福祉協議会「農福環境ボランティア連携サポートセンター」に登録し受注した。昨年、同協議会担当者が退職した後は、一般社団法人mimoza(井原市)が設立され農福連携が続いている。地域からも受注している。
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