「カフェふくろう」がお手本、認知症の人の働き方 「社会参加型の介護施設」目指す新たな取り組み

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利用者は送迎車で来所し、健康チェック(体温や血圧の測定)を受ける。軽く雑談したあと、9時半になると同時にお揃いのエプロンを着けて、カフェでの仕事を始める。

掃除機をかける人、テーブルを拭く人、野菜を刻む人、から揚げを作る人、小鉢を作る人……。それぞれがルーチンの仕事に入っていく。

カフェのオープンは11時で、14時半まで開いている。13時までのランチタイムはお客さんでにぎわう。

メニューは、おにぎらずランチ、お子様ランチ、から揚げ食べ放題の3種類。おにぎらずとは握らないおにぎりのことで、「プリップリエビフライとタルタルソース」「アボガドとサーモンのミルフィーユ」など、8種類ある。

「おにぎらずランチ」おにぎらずの切り口はSNS映えするほど(写真:株式会社ロングリバー提供)

テイクアウトもでき、最近では弁当の注文も受けている。

デイサービス福老(以下、福老)の利用登録者数は18人(男性4人、女性14人*取材時)で、年代は50代~90代。毎日5人ずつ来所し、併設するカフェのスタッフとして働く。利用者は「メンバー」と呼ばれ(*1)、長く専業主婦をしていて、初めて外で働くという人もいる。

カフェの内観。カーテンやテーブルなどはメンバーが自ら選んで買ったもの(写真:株式会社ロングリバー提供)

カフェではメンバー1人に福老のスタッフ1人が付き添い、作業を見守る。

要介護度は要支援1~要介護3で、認知症の進行度が高い人もいるが、進行度にあわせて、できることをしてもらっている。

例えば、カフェのいすに座って歌を口ずさみ、フロアをなごませたり、裏方でスタッフの手を借りながらテイクアウトのお弁当を袋に入れたりする、などだ。

福老を経営する株式会社ロングリバーの代表取締役で、デイサービスの生活相談員も兼ねる長谷川正江さん(57歳)は、「来所当時は無表情だったメンバーも、カフェのいすに座っているうちに、表情に変化が出てきました。周囲からさまざまな刺激を受けているからでしょう。ご家族も喜んでいます」と話す。

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