「カフェふくろう」がお手本、認知症の人の働き方 「社会参加型の介護施設」目指す新たな取り組み

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平田さん(45歳)はNHKのディレクターを辞めて、共同で同社を設立した。きっかけはディレクターとして認知症に関する番組を制作したとき、当事者からの「アルツハイマーになったら悪いのでしょうか」という声が心に刺さったからだ。

認知症の人に対する社会の偏見や当事者の苦しみが、その言葉に込められていることを、深く感じ取った。

番組の取材で、「DAYS BLG!(特定非営利活動法人町田市つながりの開・代表前田隆行)」を知った。

前田さんは、日本で初めて認知症の利用者が仕事をし、対価として謝礼を得る社会参加型デイサービスのモデルを構築した。「社会の一員として働きたい」という声を実現させるため、厚生労働省に何度も出向いて、要介護者が働く意義を訴え実現させた(*2)。

現在は全国18カ所のデイサービス、デイサービスとショートステイ、訪問介護を柔軟に組み合わせられる小規模多機能型居宅介護、特別養護老人ホームなどで展開している。

イチゴ農家で作業を手伝う

その1つ、岡山県のBLGきのこ(社会福祉法人新生寿会・西部いこいの里 認知症対応型通所介護事業所)は、地域の農家、小中学校や保育園から依頼を受けて、有償無償の活動をしている。

特に、毎年3月~夏は、イチゴ農家の施肥(せひ)作業(作物に肥料を与える)として、植木ポットに土を入れる(*3)。

BLGきのこでは、地域のイチゴ農家の施肥作業を有償で受注している(写真:社会福祉法人新生寿会・西部いこいの里提供)

5人のメンバーが、多いときで約360個を詰める。

委託先の農家からは「孤独な作業だが、みなさんと世間話をしながら作業でき、精神的に支えられている」と言われたそうだ。農家からは、月ぎめで謝礼を得ている。メンバーはそれで、家族にささやかな贈り物をしているそうだ。

BLGきのこの田中美鈴施設長(61歳)は、「メンバー同士が作業のコツを教えあうなど、お互いに支えあっています。これまで私たちスタッフは、介護が必要な人の過去の人生に注目しながらサポートしてきましたが、それだけでなく、『いまできること』を引き出したり見つけ出したりすることの大切さを感じています」と話す。

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