「カフェふくろう」がお手本、認知症の人の働き方 「社会参加型の介護施設」目指す新たな取り組み

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カフェを始めたきっかけは、デイサービスでの昼食で「おにぎらず」を作ったとき、とても見栄えよくできたからだ。

利用者から「自分たちだけで食べていたら、もったいないよね」「これ、売れるよね」という声が上がり、瞬く間にメニュー案が集まった。そのときのメンバーの希望に満ちた表情に、長谷川さんは大きく心を動かされて、カフェを始めることにした。

朝のオープン前準備では、手際よく室内を掃除していく(写真:株式会社ロングリバー提供)

2021年にオープンし、今は平均30人前後のお客さんが利用するが、認知症の症状によって、メンバーの接客がスムーズにいかないこともある。

長谷川さんが「右側のテーブルへ(料理を)持っていってください」と依頼しても、メンバーが左側のテーブルへ運んでしまう。このときは気付いたお客さんが「あちらのテーブルの人が頼んだのかな」と教えてくれ、無事に料理は注文した人の元へ。

テイクアウトのお弁当箱にから揚げを入れ忘れたこともあり、それに気付いた担当メンバーはとてもショックを受けたそうだ。

注文を取りにいったきり戻ってこないので、長谷川さんがテーブルを見にいくと、メンバーがお客さんの赤ちゃんをあやしていたこともあった。

提供する食事の質や安全面は、スタッフが厳しく管理している。

例えば、から揚げでは中までしっかり火が通るよう、温度管理が重要だ。そこで、鶏肉に片栗粉を付けて、フライヤーに入れるところまではメンバーが担当し、油の温度や肉の揚がり具合はスタッフがチェックしている。

一方で、お金を扱うところの一部はメンバーに任せている。自分たちの仕事の成果が認識できるからだ。スタッフは、メンバーが売り上げの計算を間違えても「誰でも間違えることはある」と見守る。

アルツハイマーになったら悪いのか?

デイサービス福老は、100BLG株式会社(東京都・代表取締役平田知弘)の加盟事業所の1つだ。

同社は、認知症や要介護の人の生活の選択肢を増やす「地域・社会・仲間とつながる認知症共創コミュニティづくり」を事業としている。全国に「社会参加型の介護施設」を100カ所作ることを目指している。

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